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散々周囲に馬鹿だと呆れられている場地とパーちんも、流石のこれには口を噤んだ。相変わらず内容はよく分かっていないが、下手に冷やかせるような空気でないことは分かる。
辺りには彼ららしからぬ重い空気が取り巻いていた。
その中でただ唯一、表情を崩すことなく少女を見つめる者が一人。
それは言わずもがな、今も木の棒を抱きしめてぐずぐずと泣いている少女を連れてきた張本人、佐野万次郎である。
彼は少女が辿々しく書いた字を一瞬で足で消すと、俯いた顔を覗き込むように、その場にしゃがみ込んだ。毛先の不揃いなブロンドの隙間から、少女の
「それ使ったら名前、答えれる？」
「……」
「ん」
コクリ、と頷いた少女を見て、万次郎は満足げに笑う。
真っさらに戻った土製の紙面に、再び文字が刻まれる。
少女がその文字を書き終わるまで、誰一人として口を挟まなかった。否、正確には挟めなかった。
それもそうだ。『余計なことすんじゃねーぞ』という総長の威圧感を全身にビシバシ感じてしまえば、誰も口を挟めまい。
皆が皆、ただ大人しく地面を削る木の先を見つめ、じっと息を潜める。端から見ればさぞ異様な光景だろう。
木の棒が動きを止めたところで、万次郎はやっと地面から顔を上げた。
「＿＿＿“A”、ね。良い名前持ってんじゃん」
彼の言葉に少女＿＿＿基、Aは、パッと青色の瞳を見開く。あってないような物だった自身の名前に初めて価値が出来た。良い、名前なんだ。
目を見開いたまま動かないAに対し、万次郎がそっと声をかける。「A」と。確かにそう言った。少し拙い「オマエ」では無く、「A」と。
そして万次郎はその場で腕を広げた。まるで俺の胸に飛び込んでこい！とでも言いたげなそのスタイルは、正しくその意味を孕んでいた。
「おいで、A」
「マイキー、お前……」
何かを察したドラケンが何かを言いかけるが、有無を言わさぬ雰囲気に息を吐く。……こうなって仕舞えば自分にはどうにもできない。
恐る恐る腕の中にやって来たAを腕に抱き、万次郎は立ち上がる。
この時にはもう既に、彼の意思は決まっていた。
「仕方ないから、俺が助けてあげるよ。オマエのこと」
「？」
「今日からオマエは佐野A。分かった？」
首を傾げるAなどお構いなく、ニコニコと微笑む万次郎。
＿＿＿＿＿＿こうして東京卍會の総長と一人の少女は出会いを果たしたのだった。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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