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糸遊びにも飽きて木にもたれ掛かると、健康な子供は既に眠っている時間ということもあり、Aの意識は次第にうつらうつらとし始めた。
なんとか寝まいと重たい瞼に格闘を挑むも、結果は惨敗。一度諦めて瞼を下ろしてしまえば、そう簡単には上げられなかった。
＿＿＿どれくらいの間、夢と現実を行き来していたのだろう。
ふと頬を撫でる穏やかな風に気付き、Aはゆるゆると瞼をあげた。
あんなにも上がらなかった瞼が、今回はいとも容易く持ち上がる。
「お、やっと起きたな」
刹那＿＿＿。すぐ真横から聞こえてきた声に、Aの肩はびくりと跳ね上がる。脱兎の如く男から一定を距離と取り、また別の木を盾に向こうの様子を伺った。殴られる、と思ったのだ。
そんな様子を面白おかしく眺めていた男は一頻り夜の空に笑い声を響かせると、「はぁ、笑った笑った」と満足げに目元を拭う。
久々に人と話したせいだろうか。いつもより笑いのツボが浅いように思えた。
次の瞬間には、男の持つ日本人らしい黒髪が風に煽られた。
同時にAの持つブロンドの髪も風に乗って暴れ、視界が晴れると、今度こそ男の表情がはっきりと見える。……どことなく、自分の大切な人に似ていた。
「この姿では初めましてだな、A。オレは“佐野真一郎”。万次郎の兄だ」
「……ぅ、ぁ……？」
「墓の形してなくてびっくりしたか？どーだ、本物の方が100倍イケメンだろ」
突然自らを『佐野真一郎』と名乗る男に、Aの頭は軽く混乱する。
ついこの間墓石姿の真一郎を受け入れたばかりだというのに、今目の前に居るのは間違いなく人だった。それも、万次郎と似た容姿を持った男の人。
どういうことなのだろう。好奇心の赴くままにAが恐る恐る真一郎(仮)に近づけば、彼は嬉しそうにAの小さな体を抱き上げ、そして笑いかける。
＿＿＿＿＿＿彼女が、あの時万次郎が紹介してくれたAという少女。
自らの墓前で紹介された時からずっと気になっていた。
なんてったって、自分の新しい家族だから。血のつながりなど一切ないけれど、弟達が『家族だ』と言うのだから間違いない。
……アイツにも、早く弟達を紹介してやれば良かった。
そうすれば、アイツがあそこまで歪むことも無かったはずなのに。
水晶玉のように透き通った瞳を見つめ返して、真一郎は密かにそんなことを思った。
「……なんでもかんでも中途半端でダセェな、オレ」
沈んだ声は木々のざわめきに攫われていった。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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