43 〈？？の話〉 ページ43
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「＿＿＿＿＿＿羽宮一虎、手紙だ」
それは、昨日の晴れ間とは似ても似つかない曇りの日だった。少年院で知り合った仲間と駄弁っていた一虎の元に、看守から一通の手紙が届けられた。
それを見た彼は「またか」とどこか呆れの感情を抱く。何度送ったところで返信があるわけでもないのに、よくもまぁこうも懲りずに送り続けられるものだ。
なんとなく捨てられなくて取ってある手紙は、いつしか空き箱にも引き出しにも収まらない量となっていた。
「今日はもう部屋戻るわ」
腕っぷしで負けて彼の下についた男達は、一虎の言葉に逆らう、なんてことはしない。大人しく部屋を出ていく彼を見送り、残された者たちは先日折られた足についての話で再び盛り上がり始めた。
自室に戻った一虎は早速、手紙の縁を手で破いた。ここにカッターやハサミのような刃物は無いため、多少不恰好になろうと、手で破く以外の選択肢はなかった。
彼が封筒の中を覗き込むと、相変わらずかなりの枚数の便箋が収められていた。
別に頼んじゃいないのに、手紙の送り主はいつも数枚に及んで近況報告をしてくれる。
……アイツは、こんなオレに「この先どんな地獄が待ってても、オレは最後まで一緒だから」なんて言ってしまう、馬鹿な奴だった。
「……字、ちょっと上手くなった？」
一番上の便箋に目を通した一虎が思わず声をもらす。
確かに男から送られてきた一通目の手紙を思い起こすと、読める字は格段に増えていた。
数ヶ月前までは送る相手の名前である【虎】の字すらマトモに書けていなかったというのに、人間、何事も続ければ成長するもんだな、とクサい大人のような事を思う。
今回も律儀に手紙を読み進めた一虎は、一番下にあった便箋まで辿り着き、そして目を見開いた。知らない字、知らない送り主だったからだ。
そこに並んでいたのは、お世辞にも綺麗とは言えない場地よりも更に汚くて、拙い文字だった。
「……A」
手紙の締めに書かれていた【Aより】の文字を撫でながら、彼はその名前を読み上げる。
もしかしてこの手紙の送り主が、場地の言う【鼻血を出したチビ】なのだろうか。
見ず知らずの相手に手紙を書くなんて、きっとコイツも場地と同等の馬鹿に違いない。
……けれど何故か一虎の心は、自らのことを【トラ】と連呼するチビに対して、言いようのない親近感のようなものを感じていた。
＿＿＿【オレもチビに会いたい】
その日は、一虎が初めて返事を書いた日だった。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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