38 〈手紙の話〉 ページ38
．
＿＿＿＿＿＿万次郎やドラケンが不在となった時、【Aの子守りをしてくれる人間】として真っ先にあげられるのは、子守り慣れている三ツ谷でも、東卍内では常識枠な千冬でもなく、なぜか満場一致で場地であった。
それは場地自身も予々疑問に思っており、万次郎がAを抱っこして玄関先に現れると必ず「なんで毎回オレなんだよ！二階に千冬も居んだろーが！」と声を荒げた。
それもその筈。なんたって彼は自他共に認めざるを得ない程のおバカなのだから。
彼の馬鹿さが如何程か簡単に説明すると、義務教育期間中にも関わらず【留年】の二文字を叩き出して母親を泣かせるレベルである。正直おバカなんて可愛い言葉では相殺出来ないレベルの馬鹿だ。
何なら、その事を一番理解しているのは場地だろう。
「マジで今度こそソイツ落とすかもしんねーぞ？！オマエが迎えに来た時にはソイツぎゃん泣きしてるかもしんねーんだぞ？！分かったらとっとと千冬のとこに行きやがれ！アイツどうせ暇だろ！」
だからこそ彼は毎回律儀に「自分には子守りなど出来ない」として、三階下に住む千冬を勧めた。
アイツの方がちゃんと子守り出来るだろうし、自分のようにAを泣かせる心配もないだろ、と。
しかし何度言っても場地の目の前に居る男は「Aのこと泣かしたら殺すけどまぁオマエならだいじょーぶだろ」と問答無用でAを預けた。
流れでAを抱っこしてしまえば、もう後には引けない。
暫く歯軋りした後、場地はキッと万次郎を睨みつける。
その間も彼の腕は慣れたようにAの背中をトントンと叩いており、その光景を見た万次郎は「そーゆうとこだよなぁ」と思いながら飄々と笑っていた。
「どうなっても知らねーかんな？！？」
「はーいよろしくー」
そして結局はこうして、場地がAの子守りを引き受けることになるのだった。
隣町のヤンキーをシメに行くという万次郎が玄関先から消えても尚、納得のいかない場地は「んでオレなんだよ……意味分かんねぇ……三ツ谷とかの方が絶対ェ良いだろが……」とグチグチ言葉を連ねる。
それを聞いたAが「自分のせいで迷惑をかけてる」と考えてしまうのは、ある意味自然な流れなわけで。
場地の腕の中で小さくなったAの目にジワジワと涙が溜まる。すると途端に場地は言葉を止め、ぐずり始めたAをぎゅうっと抱きしめた。
「……泣くんじゃねーよチビ。別にテメェが嫌とは言ってねぇだろ」
まぁつまり、彼が選ばれるのはこういう所である。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
