13 〈公園の話〉 ページ13
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＿＿＿＿＿＿佐野万次郎がAを拾って早くも一週間が経過した。
妹のエマとは変わらずの冷戦状態、かつ祖父にも反対されているという、一見すると最悪な状況。
しかしなんだかんだ一歩も引かない万次郎のお陰で、Aの存在も佐野家に馴染んできていた。
あれだけ猛反対だったエマも毎日欠かさずAの分の食事も作っており、昨日は同じテーブルで食事を囲うことも許可された。
Aを膝に抱えたまま食事を取る万次郎が「お行儀が悪い！」とエマに叱られたのも記憶に新しい。
「おい、チビ」
「……」
「今日そこスイッチ見つけんぞ」
そして今日は、正式に家族と話し合うという万次郎に変わって、暇をしていた場地がAの面倒を見ていた。
彼の住む団地からほど近い公園で、特にすることもない二人は、ギーコーギーコーと音を出してブランコを漕ぐ。
隣の男は幼女相手にも大人気ないので本気でこいでいるが、側から見れば一人ではしゃいでいる中学生を生温かい目で見守っている幼女である。誰が近づきたいと思うだろう。
これでは完全に場地がAの面倒を見ているというより、場地がAに面倒を見られている。
そしてブランコに飽きれば今度は恒例行事のスイッチ探しになる。
恒例、と言いつつまだ一週間だが。
「オレが見たCMだとよぉ、額にスイッチがあったんだよ」
それ多分やる気スイッチ、なんてツッコんでくれる人間は残念ながらここにはいない。
ブランコに腰掛けるAの前に立ち、狭い額をツンツンとつつく場地。馬鹿なので力加減を知らない。何度かやっているうちに額は赤くなっていた。
正直Aとしても場地の指は痛かった。
けれど不思議と、嫌な感じはしなかった。寧ろ場地の暖かいそれが嬉しかった。
意図せず、以前までの仕打ちを思い出す。胸ぐらを掴まれ、首元が締まり、アルコール臭い怒号を浴びせられ、力任せに殴られる日々。抵抗する意思を全てねじ伏せられ、血を吐きながら床に蹲る。朦朧とする意識の中、何度も死ぬかもしれない未来を思い浮かべて、死ぬ恐怖に苛まれる。いつだって鮮明に思い出せる、決して遠くない過去。
今思い出すだけでもヒュッと喉の奥が鳴り、Aはその小さな両手で正面の場地の服を掴んだ。
「あぁ？…………って、おい、チビ、何泣いてんだよ！まさか痛かったのか？！わ、悪かったって、もうしねぇよ、だから泣きやめよォ、なぁ」
オレがマイキーに怒られちまう、と場地はしゅんと耳を垂らした。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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