夏と秋の狭間（１） ページ9
.
退屈だった夏休みも明け、9月になってから2週間が経とうとしていた今日この頃。
学校終わり、私はいつもの駄菓子屋には向かわず海から3メートルほどの高さがある防波堤の上に腰を下ろしていた。綺麗な海に自分の足の裏を反射させ、ブランブランと遊ばせながらなんとなく過去を振り返る
.
.
あれは、中2から中3になる間の春休みに入ってすぐの頃
おじいちゃんが亡くなった。
小さい頃は長期休暇のたびによく会いに行ったりしてたのだけど、小学校高学年になった頃には友達や習い事を優先するあまりパタリと顔を合わせることは無くなっていた
この島で二人暮らしをしていた祖父母。おじいちゃんが亡くなった事により、足腰の悪いおばあちゃんが1人になってしまうという事態が発生した
それに祖父母の家は、島にある勇逸の文房具屋さんらしくて店頭に立つものは常におじいちゃんだけだったらしい。だったらいっその事こと移り住んじゃおうよと言ったお父さんは本当にバカだ
自分の実の親を心配する私のお母さん。その気持ちを汲んでサラリーマンを辞めて島の住人になるといとも簡単に決断するお父さん。
互いを慰め合う両親を冷めた目で見つめる私はというと、この時点でこれからなにが起こるのかは容易に察しが付いていて。
あれよあれよと話しは進み、気付けば私は島に向かう船の上で果てしない海を眺めていた
『初めまして。カン・Aです』
そして再び気付けば、木の匂いが漂う古びた教室で転校生としての挨拶をしていた。
一人娘という事もありながら甘やかされて育てられたとは言え、自分勝手な両親に昔から逆らった事は一度もない。何故なら愛し合ってる両親が健在である事が、幼い私にとって少なからずそれは幸せの源にもなっていたからだ
「昔あげた髪飾り持ってる？あれがあれば1年に1度幸運が訪れるからね」と久しぶりに顔を合わせた背中を丸めたおばあちゃんに言われて家を出た。思い返すと確かに1年に1回は自分の身に都合のいい事があったのは、果たしてこの髪飾りのおかげだったのか。
そしてそこで出会ったマーク。優しい彼に家まで送ってもらい、無事に転校初日を迎えられた事に安堵しながら家を跨いだ
そして時は流れ、春が終わり夏になり、夏が終わり秋がやってきてすぐに
私は、この島の呪いにかかってしまう
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 568人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
run(プロフ) - おもちさん» こちらこそ、そんな素敵なコメントをして下さりありがとうございます🥹🙏💓 (9月22日 16時) (
レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 心温まる素敵なお話ありがとうございました😌💚 (9月15日 19時) (レス) @page49 id: db91ee34e8 (このIDを非表示/違反報告)
run(プロフ) - もちこさん» もちこさん！とても素敵で感動的なコメントありがとうございます😭めちゃくちゃ嬉しいです〜（ ; ; ）❤️これからももっともっといい作品を作っていきたいと思ってるので、是非よろしくです🙇♂️💙 (9月13日 9時) (レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - 文字数の関係からいくつもコメントしてしまい失礼致しました💦 今後もrunさんの作品を楽しみに応援しております.......🙏🏻💚 (8月21日 1時) (レス) id: fa93449f5b (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - 登場人物全員が魅力満点で、ずっとこの世界を眺めていたいなあと噛み締めております😂連載お疲れ様でした、本当に素敵な作品をありがとうございます！ずっと心に残り続ける大好きな作品です😭 (8月21日 1時) (レス) id: fa93449f5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：run | 作成日時：2023年1月23日 16時
