13. ページ13
.
「あのさ」
『なに？』
もはやもがく事をやめた私はいい意味で諦めが早い。とりあえずドンヒョクの気がすむまでこの腕の中で…いやいやそれじゃいつ抜け出せるか分からないから、とりあえず隙を見て抜け出せるまで大人しくしてよう。
「Aの好きなやつはさ」
『うん』
「………Aをちゃんと心配してくれる人？大切にしてくれそうな人なの？」
『うん。すごく心配性な人だよ』
「えーやっぱりムカつくわー……っあ！ちょっと！」
油断していたのかなんなのか、会話の途中にドンヒョクの腕が緩んだ隙に蛇のようにスルスルと逃げだす事に成功した私はすぐさまドアノブに手をかける。そして「なんで逃げんだよ〜」なんて負け犬の遠吠えをしているドンヒョクを見ようと上半身のみほんの少しだけ振り返る
『ま、私の事心配してくれる人なんてドンヒョクしかいないけどね』
いつもこうやって仕掛けるのは私のほうで。だけどそれは一度だって効果を成したこのはない。一応これでも頑張ってアピールしてるつもりなんだけどな…。
意外と自分のことになると救いようのないほど鈍くなってしまうドンヒョクに周りくどいことを言っても絶対伝わらない。
チラッとドンヒョクの顔色を伺うと、は？と言いたげな顔をしてこちらを見ていて、やっぱり気付かないよなーとドンヒョクと自分自身に対してため息をはく。
好きバレしたらそれはそれで困るくせに、私ってばほんとうに懲りずに何やってんだろ、と。
『じゃあね。今日は私本当にすぐ寝るから窓叩かないでね』
「最後に一つだけいい？」
『なに』
「そうやって男をたぶらかすような事あんまり言わないで。ドキッとする」
『え、』
「じゃ、おやすみ」
_____________バタン
ドンヒョクの言葉を最後に一方的にドアを閉められてしまい、私はその場で立ち尽くす。
閉じられてしまったドアを見つめ、脳裏に深く残ってしまった先程のドンヒョクの余裕がまるでない顔が、私の胸を掻き乱す。
『なんなの…』
男をたぶらかすなんて言われたくなかった。だって私はいつだってドンヒョクだけだから、他の男の人なんて眼中にないのに。あーあ、軽い女って思われちゃったかな…
でも、ドキッとしたって言ってたなぁ…
ちょっと、嬉しかったな…なんて。
『好きだなぁ…』
聞こえないのをいいことにポツリと呟いた私の本音は
誰にも知られることのないまま、宙を彷徨う。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
run(プロフ) - ちょんぽむさん» わぁ（ ; ; ）♡そんな事を言って頂けて本当に光栄です🥹💓最後まで読んでいただけただけでも嬉しいのに沢山キュンもしてくれたんですね😭嬉しいです❤️ (10月21日 23時) (
レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
ちょんぽむ(プロフ) - 完結お疲れ様でした…！runさんの書くドンヒョク良すぎるしお話も好きすぎていつも楽しく読ませて頂いてました🥹たくさんキュンしましたありがとうございました😭💕 (10月19日 10時) (レス) @page41 id: d126820032 (このIDを非表示/違反報告)
run(プロフ) - Kikiさん» わぁKikiさんだ〜（ ; ; ）♡いつもコメント本当にありがとうございますぅ（ ; ; ）♡励みになるし、何より凄く嬉しいです♡これからも頑張ります(*^^*)♡ (10月5日 14時) (レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - 完結したらコメントしようと思ってたんですけど無理でした(;_;)今回のお話もかわいくてめちゃくちゃ好きです〜(;_;)気早すぎますが次回作も楽しみです(;_;)💓 (10月5日 9時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：run | 作成日時：2023年6月8日 17時
