31. ページ31
.
さっきまで楽しい空間にいたのに
それもこれも全部ドンヒョクの所為だ
「違くて、ちゃんと聞いてよA」
困った顔をして私の腕を掴むドンヒョクの手を振り解こうにもそれは虚しくも失敗に終わる。
いったい彼の細い腕のどこにそんな力があるのか
私の腕をギュッと掴んだその手からは、私を絶対に逃すものかという意志が痛いほど伝わってくるようだった
.
.
「A、ジェミナは…」
「なにしてんの？」
何かを話そうとしたドンヒョクに被せるように発せられた軽くて柔らかいその声は、私が嫌と言うほど良く知っている
それはドンヒョクも右に同じだったようで、2人仲良く声がした方へと全力で首を捻らせていた
「ジェミナ…こ、これは違くて…」
「うんうん大丈夫大丈夫。とりあえずその手を離そうか？」
私の腕を未だに掴むドンヒョクの手を指差しながら笑うナナの目は全く笑っていなくて
大丈夫だからね、と謎に繰り返している彼は一体誰に向けてそれを言っているのか
薄暗くとも分かるそのシルエットこそは何も変わっていないが、心なしか少し痩せたようにも見える
ちゃんとご飯食べれてるのかな？またコーヒーばかり飲んでるんだろうな、なんて
今となっては元カレになってしまった彼の事を心配してしまうのは、やっぱり7年という長い年月を共に過ごした相手だからなのか
「お、俺、、帰るわ」
『ちょっ！ドンヒョガ！』
引き留める私を無視して振り返ることなく走り去るドンヒョクの後ろ姿を虚しく見つめる私を見下ろすのは紛れもなくナナで
とんでもなくカオスな状況に頭をフル回転させる私は何とも奇妙な事を口走っていた
『あ…ウチ来る？』
「………………」
私の誘いに乗るように小さく頷いたナナを確認できてホッと胸を撫で下ろしたのも束の間
なんて事をしてしまったんだ、と血の気が引いていく
元カレを家に誘うなど、とんでもない下品な女だ
しかもその元カレにはもう既に新しい相手がいると言うのに
青ざめる私を他所にスタスタと私のマンションまで歩き始めたナナを小走りで追いかける以外に今私が思い付く行動はなくて
前よりも小さくなったように見える彼の背中をただ眺めていた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 757人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
run(プロフ) - hkrさん» ありがとうございます（ ; ; ）途中作品が消えてしまってご迷惑をおかけしました（ ; ; ）大学編楽しみにしててください♡ (2022年11月29日 10時) (
レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
run(プロフ) - ephemeral7287さん» 楽しみにしててくれてありがとうございます♡大学編間も無く始まりますので少々お待ちを〜♡ (2022年11月29日 10時) (レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
run(プロフ) - wakaさん» わーい♡コメントいつもありがとうございます！大学編楽しみに待ってて下さい♡ (2022年11月29日 10時) (レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
run(プロフ) - まゆえまさん» うわお嬉しいお言葉♡ありがとうございます！大学編準備中ですので少々お待ちくださいね♡ (2022年11月29日 10時) (レス) id: 8f6ebbdacb (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 完結おめでとうございます！そして、大学編楽しみにしてます🤍 これからも更新頑張ってください！！ (2022年11月29日 1時) (レス) @page41 id: fcc5d5eeb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：run | 作成日時：2022年11月18日 14時
