第五十二話 折衷案とか建前で ページ5
「そうすれば私が上級生と関わることはほぼほぼありませんし、御二方としてもまだ安心出来るのでは無いでしょうか?」
左吉と団蔵は顔を見合せ、
「それ、なら…」
と了承してくれた。
やったね。
「ありがとうございます。まあもし私が妖術かけるタイプの天女だったらもうかけてますけど。」
「えっ」
「え!?」
「今それを言う奴がいるかバカタレ!」
ついつい悪戯心が生まれてしまい、二人をからかったら潮江先輩から怒られた。解せない。
「って申し訳ありません。天女様に無礼な事を。」
「お気になさらないでください。むしろ潮江さんに敬語を使われるとこちらとしても違和感がありますので是非外してくださいな。」
心からの頼みである。
「しかし…!!」
「えー!!天女の頼みですよー?しかも私会計委員会のお仕事お手伝いしますよね〜?それでもダメですか〜?」
「…はあ、分かった。ならこれからは敬語を外させてもらう。」
渋々。本当に渋々引き受けてくれた。
一先ず潮江先輩敬語問題は解決した。
これで私の腹筋が筋肉痛になることは無いだろう。
一方でその光景を見た残りの会計委員達は自分達の先輩が押されていることと久しぶりの天女の命令と言ってももいいような頼み方にこの天女に頼んで本当に良かったのだろうかと随分複雑な気持ちになっていた。
「ありがとうございます。では今日はこの辺で失礼致します〜。」
スーと扉を閉める。
閉めた途端頬が緩みそうになるのを必死に手で抑える。
にまにまにまにま。
仲良い人と少しまともに話せただけでこうなるとは我ながらチョロすぎると思う。
スキップしそうになるのを堪えながら事務室へ戻った。
.
同刻、天女を見ている人間がいた。
監視をしていたのではなくたまたま。
本当にたまたまこの部屋の前にある庭を歩いていたときだった。
「…」
もしかしたら友人達は天女の顔を知っているかもしれない。そうたとえば天女が初めてこの学園に来た時だとか。
でも天女の顔なんて知らないので、その少年にはただの少女のように見えていた。
少年はあの女の子が天女だとは塵にも思わなかった。
ただただ会計委員会室からでるなり頬に手を当て嬉しそうにし、パタパタとかけていく彼女がとてもとても
「めっちゃ可愛い…」
と、茹でダコのように真っ赤に耳まで染めている少年がいた。
第五十三話 とある少年の独白→←第五十一話 結局は自分の都合
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うん! - 澄香さん» コメントありがとうございます!八左ヱ門には頑張って欲しいですね〜 (4月12日 20時) (レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - 八左ヱ門ッッ!!!好きだ!!いつも楽しく拝見してます!頑張ってください! (4月7日 1時) (レス) @page8 id: 8b8bcc9d2b (このIDを非表示/違反報告)
うん! - えだまめさん» わー⁉︎一気読みですか⁉︎ありがとうございます。頑張ります! (3月25日 0時) (レス) @page1 id: 5a2711bae6 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くてここまで一気読みしてしまいました…✨✨これからも更新頑張ってください!応援してます! (3月23日 12時) (レス) @page1 id: 7ac8ba9ab7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うん! | 作成日時:2024年3月22日 16時