第四十八話 癖は直らないもの ページ1
「吉野先生から頂いたプリント渡しに来ただけです。確認して頂けたらすぐ帰りますよ。」
流石に撃たれるのは勘弁なので両手を挙げ、持っていたプリントをヒラヒラとさせる。
天女を部屋に入れたくは無いが背に腹はかえられないようで潮江先輩は三木ヱ門と左門に武器を向けるのを辞めるよう指示し、潮江先輩以外の生徒はまた机に向かって計算を始めた。
まあ潮江先輩なら私をこの部屋に入れなくてもこのプリントを取ることは出来そうだけど。
私がこのプリントを渡しに行った場所。
そうつまり会計委員会である。
確かに、確かに他の委員会と比べたらまだ良心的な委員会なのかもしれないけどそれでもこの委員会も例に等しく変な人しかいない。
委員長の潮江先輩にプリントを渡すとこれまたペラペラと紙をめくり確かめた。
この間私はする事も無いのでボケーッとみんなが計算している所を見ていた。
あー今年の予算か。大変そう〜。
皆諸悪の根源みたいな人間がいるからか張り詰めたような空気である。
悪いなとは思いつつ堂々と居座らせてもらう。
みんな十キロ算盤を弾きながら計算中だ。
いつもの如く思い出に浸らせてもらうが私のいた時代にもこの算盤はあった。
正直この算盤が一番予算の無駄ではないかと思うがまあ自分の委員会だし。という事でいつも見ないふりをしていた。
そして私は断然電卓or筆算派である。暗算も出来るけど。私に算盤は向いていなかった。無念。
うわこの時の団蔵も字が汚いんだ。
団蔵も努力はしてるのは知っているんだけど読みづらい時が時々あるのよね〜。
しかも今は筆。余計読みづらいんだろうな。
チラリと団蔵が書いている紙を覗く。
あれ、
これって
「ここ0が二つ多いね。」
「え」
「え」
「え」
「え?」
「あ。」
トン、と目的のところに指を置く。
言って暫くして気づいた。
これはやらかした。
私が動いてすぐに潮江先輩が飛んできた。
ガチごめんと思いつつ自分の先輩でもあるのでちゃんとした先輩の対応に少し私が誇らしくなった。
「…すみません。癖で。」
三木ヱ門もカノンだかユリコだか知らないけど変な樽みたいな武器に手をかけていて改めて良い委員会であると思った。
目が泳ぎまくっている私はすぐに団蔵から離れると敵意は無かったと判断したのか潮江先輩も離れてくれた。
「確認しましたが不備が無かったのでこのままこの書類達はいただきます。」
「そうですか。それは良かったです。」
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うん! - 澄香さん» コメントありがとうございます!八左ヱ門には頑張って欲しいですね〜 (4月12日 20時) (レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - 八左ヱ門ッッ!!!好きだ!!いつも楽しく拝見してます!頑張ってください! (4月7日 1時) (レス) @page8 id: 8b8bcc9d2b (このIDを非表示/違反報告)
うん! - えだまめさん» わー⁉︎一気読みですか⁉︎ありがとうございます。頑張ります! (3月25日 0時) (レス) @page1 id: 5a2711bae6 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白くてここまで一気読みしてしまいました…✨✨これからも更新頑張ってください!応援してます! (3月23日 12時) (レス) @page1 id: 7ac8ba9ab7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うん! | 作成日時:2024年3月22日 16時