第六話 挨拶 ページ8
立花仙蔵もとい立花先輩の有無を言わせない提案に折れ、七松先輩に俵担ぎの猛スピードで学園に連れていかれた私は謎に震える小松田さんに渡された入門票にサインした後学園長室に通された。
七松ジェットコースター、随分と素敵な乗り心地で私も思わず胃をひっくり返すところだった。
既に話が通っていたのか、そこには学園長やその他先生方も揃っていてとても居た堪れない気持ちになってしまった。
なんかやらかした時みたい。
まあこんな大事になるくらいのやらかしは今までしたことがないんだけど。
大勢の人の圧で押し潰されそうになったがなんとか平静を保った。
「ご機嫌よろしゅうございます。天女様。ようこそ忍術学園へ。学園長をしている大川平次渦正と申します。」
お茶をどうぞ。ときめ細かい泡で埋め尽くされた抹茶を頂いた。
「ああ、これはこれは大変丁寧なご挨拶ありがとうございます。私は…常光寺珀莉と申します。私の方が年齢もこの国にいる時間も若輩者ゆえ畏まった挨拶など過分にございます。どうぞ楽になさってください。」
Aはノリと勢いで言ってみたがなんだか敬語を良い感じに出来るやつっぽいと心の中でガッツポーズをした。
流石に70歳以上の人に敬語を使われると気が引ける。
学園長はその言葉を待っていたかのように頷くと
「ではこの喋り方はやめるとしよーう!!︎ このブロマイドもあげちゃうぞ‼︎」
先程とは一変して私が知っているような学園長の状態に戻った。
Aはわーありがとうございますという言葉と共に即座にバッグへしまった。
((ブロマイドに見向きもしなかった…))
「…して本題に入るのじゃが。お主は『へいせい』、もしくは『れいわ』の世から来たのじゃろう?そういう方々のことを儂らは天女様と呼んでおる。…天女様はお主で五人目じゃ。」
「あら意外と多い。それでその天女様方は今どちらに?」
そう、言うと途端にしんと静まり返り部屋の温度が何度か下がったような感覚に陥った。
先程まで明るい雰囲気を纏っていた学園長までが無機質な置物のように
ただただこちらを見ていた。
軽くホラーだな。この光景。
「あぁ、もう、いらっしゃらないのですね。」
「お主は勘が鋭いんじゃのう…」
何とか声を絞り出すとそう返ってきた。
「ちょっとした事情があってな。天に帰っていただいたのじゃ。」
学園長はぐいっとお茶を飲み干した。
あくまでその事情とやらは天女である私には教えるつもりがないようだ。
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うん! - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです!こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うん! | 作成日時:2023年12月24日 1時