第四十七話 死地 ページ49
校舎裏を探してみるが山田先生はいらっしゃらない。
まあ忍者だし。
しかも先生だし。
見つけられなくて当然なんだけど。
やっぱり手紙ということは隅っこで読んだりするものなのだろうか。
木の後ろに回ってみたがやっぱりいらっしゃらない。
「全く居ない…別のところか〜…」
「誰を探してるんです？」
「!!」
背後に人の気配と思った途端に声を掛けられた。
とてもびっくりしたとても。
「こんにちは、天女サマ。」
含みのあるような笑顔でそう言ってくる彼に多少の気持ち悪さを覚える。
「まあ、こんにちは。
尾浜勘右衛門さん。山田先生を探しているのですがご存知ありませんか？」
「あぁ山田先生。山田先生ならほら、そちらに。」
彼が示す方を見ると探していたその人。山田先生がいらっしゃった。
案外近くに居たようだ。
声くらいかけてくれても良かったのではとも思ったが天女ごときに声はかけないかと私の中で片付けた。
「こんにちは、山田先生。こちら吉野先生からお願いされたものです。ご確認ください。」
「あぁありがとうございます。」
山田先生は封筒を受け取ると中身を少し確認した。
「天女様ってこういう事もするんですね〜。他の先生にでもお渡ししていれば時間も掛からず済んだでしょうに。」
「出世したので。他の先生方に渡して当のご本人に届かなければ意味がありませんし、それを私のせいにされても困りますから。」
「そうですか。」
嫌味ったらしく言ってくる勘右衛門が随分と不快である。
素っ気なく返しては見たが勘右衛門は依然として笑顔を保ったままだった。
「うん、間違いない。これで大丈夫です天女様。」
「そうですか。それでは失礼致します。」
「またどこかで〜。」
手を振る勘右衛門を無視して例の死地へと足の向きを変えた。
ああいうのとは関わらない方が吉である。
．
ついに来てしまったこの場所に若干の緊張が走る。
深呼吸を一つ。
障子に手をかけて引くと同時に「失礼します。」と声をかける。
どうか入った瞬間殺すとかはありませんように。
「こんにちは、事務員の天女です。」
六年生の後ろに隠れる一年生と十キロ算盤を構える三年生。
大体予想はついていたが、今まで仲良くしていた同じ委員会の人にそういう態度を取られるとくるものがある。
彼らにとってはそうでないんだろうけど。
それと
マジでお願いだからその大砲みたいなのを私に向けないで欲しい。
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
