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第四十五話 出世 ページ47

一通り自己嫌悪に陥ったので先程まで考えていた思考を放棄した。

とりあえず小松田さんは私と仲良くなったと思っている。
じゃあそういうことでいいや。
いちいち突っかかるのもめんどくさいし。


この話題は私の中で完結させた。


それから数刻後。


「珀莉さん、これを山田先生のところへ届けてくれますか?」

二人しかいなかった空間に入ってくるなり仕事を渡してきたのは吉野先生であった。

「えぇ。もちろん大丈夫ですけど…よろしいんですか私で。」


もちろんこの確認は私がこの部屋から出て色んな部屋に行ってもいいのかというものである。
確かに学園長に許可はされていたが今までそんな仕事は回されなかった。
これもまた吉野先生が意図的に仕組んだものであろう。
なぜならほとんどの確率で生徒と遭遇するから。

「私は貴女のプライベートがどうかは存じ上げませんので評価しかねますが事務仕事に関してはミスも少なく真面目にやっていますし取り組む態度も評価に値するものです。」



「ですので貴女に任せる仕事を増やそうと。」

「…つまり出世と。」

「わあ〜おめでとう珀莉ちゃん!!こんなに早く任せてもらえるなんてすごいねぇ。」

あまりに急な展開に驚いて固まっている私とまたもや笑顔で手を叩いている小松田さん。

「色んな経験をするのも大切です。」

いや大切だけれども。
最初の厳しそうな掟はなんだったんだと思わせるほどには緩くなっている気がする。
もはや裏を感じる程である。

「まあ取り敢えず渡してきますね。」

ぽす、と手に置かれた封筒を手に立ち上がった。

「あ、それと珀莉さん、こちらもお願いします。こちらは______にお願いします。」

新たに渡されたプリントに少しだけ目を通し、吉野先生のお言葉に大きく目を見開いた。

「まじですか。」

「え?」

「いえ、なんでもないです。」

聞き間違いじゃないかと思わず本音が漏れてしまった。
確かに何事も経験だし大切だとは思うけど。


あまりにこれは出世し過ぎている。

不満の意を込めた視線を吉野先生に向けたが頑張って下さいと言われただけだった。








鬱である。

私は今大鬱である。


一歩進む度にため息が出ている気がする。

こんなの自分から死地に赴くようなものである。


特大任務は後回しにしてまずは山田先生を探しに行こう。

せめてもの延命行為である。

一先ず吉野先生に教えて頂いた通り山田先生と土井先生のお部屋へ向かった。

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うん! - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです!こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うん! | 作成日時:2023年12月24日 1時

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