第四十三話 思案 ページ45
「…」
滝夜叉丸は天女と別れ天女が歩いていた方向をじっと見つめていた。
「(怪しい所は今のところないが…それでも警戒が必要だろう。今回の天女様の性格は恐らくこちら側が動かない限り何もしてこないタイプ…もし悪い天女であるならばやはりあちらの痺れが来るまで静観するべきか?)」
思考を巡らせていると背後から同室の声がかかった。
「で、どうだったのさ。」
言葉数が少ない同室の“どう”とは予想しなくても天女への所感の事だろう。
「私はまだ信用はしないぞ。」
滝夜叉丸は現状と所感を端的に述べてみせた。
「そ。というか僕も別に信用してるわけじゃないんだけど?」
相変わらずの感情の機微を感じさせないような表情で綾部が不満そうな声を上げた。
「あっちも別に僕達の事は信用して無さそうだよ。僕の事は何故か呼び捨てだけど。それでも気に入られてるって感じもしないし“誰か”と僕を重ねてるって感じ。」
「それは私も感じたな。確かに今までの天女は“あちらの世界での忍たま”と私達を重ねていたが此度の天女様はそれとはまた違った“私達”とを重ねているような気がする。」
滝夜叉丸の考察に綾部はそうかもねと頷いた。
『天女様が来た』
という事のみしか伝えられていない四年生だがあの少しの時間でこれだけの事を引き出した二人は流石い組、上級生とも言うべきか。
恐らくあまり天女と関わっていない五六年生よりも此度の天女の輪郭をつかんでいるだろう。
「そういえば今回の天女様っていくつなんだろう。あ、また名前聞くの忘れた。」
「身長的には前の天女様とさほど変わらない…いや少し大きいか。」
身長的に見るなら13〜15歳辺りである。ただし精神的なものではあの天女達より大人びていて落ち着いている。
より多くの情報を持っている五六年生に聞けばすぐだろうが自分達が聞けば妖術に掛かったと警戒される。
この話については早々に行き詰まってしまった。
「そういえば滝夜叉丸。」
「なんだ喜八郎。」
「もう鐘なるね。」
「もっと早くそれを言えアホハチロー!!!!」
教室へかけて行く二人の生徒の姿があったとか。
.
同時刻、事務室にて。
戸を開けるとやはり変わらず小松田さんがいた。
「あ!珀莉ちゃんだあ!こんにちは今日はいい天気だねぇ。」
以前のオドオドとした態度とは打って変わってニコニコとした態度の小松田さん。
本当にこの人はよく分からない。
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うん! - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです!こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うん! | 作成日時:2023年12月24日 1時