第三十九話 不仲 ページ41
吉野先生が部屋から出ていってしまったので部屋には私と小松田さんと大量の書類だけが残った。
このなんとも言えない空気感を紛らわすために手だけを動かす。
私としてはもう何度か気まずい空気を経験してきたのでもはや慣れ始めてしまったのかさほど何も思わなかったが小松田さんは耐え難かったようで口を開いた。
｢ぼく天女様にお会いしたのは二回目なんですけど勘違いしていましたぁ…ぼくのせいなのに事務処理手伝ってくださいますし…優しい方ですねぇ〜｣
一瞬手を止め小松田さんの方に目線を向けるがすぐに書類へと戻し再び手を動かす。
小松田さんにこんな嘘をつけるとは思わない。恐らく本心だろう。
彼らからしたら敵である以外の何者でもない私にどこまでもお人好しすぎる学園の人間に嫌気が差しそうだ。
｢…ちょろいですね〜。｣
｢え？｣
｢大方仕事を真面目にやっているのでそう思われたんでしょうけどただ好感度目的のためにこうしているだけかも知れませんよ〜。確か以前の天女もそうだったんですよね？｣
流石に詰めすぎたかとも思ったが別に嫌われたところでどうでもいいので罪悪感は特に抱かなかった。
吉野先生が私と小松田さんを分けてる感じからして小松田さんも天女から何かしら危害か影響を受けたのだろう。
そして日記を読んだ感じ前の天女も仕事は真面目にやるタイプだったんだろう。
それなのに懲りずにこういう態度なのはもはや一種の才能なのかもしれない。
｢あー！そうでしたぁ…でも天女様はぼくがミスした仕事を文句言わずにやってくださったと聞きましたよ？｣
｢それは私に与えられてた仕事だからです。それに表面上では小松田さんがミスしたものだって知らされてないことになっていますから。あと私は目の前でミスを連発されるとキレるタイプです。｣
何かミスした時にこの人だからしょうがないとかになるのは嫌いだ。そのくせ別の人がミスしたら酷く怒られる。
嫌いである。
そういうと｢え〜そうですかぁ…｣としょんぼりした声が返ってきた。
まあ別にこの人に事務の才能がないとは思わない。
入門者への察し能力はずば抜けていると聞くし。
ならそれだけしていればいいのに。
適材適所と言うやつである。
…まあこういう仕事に向いてない人を使うってことはそこまで人を増やす必要が無いんだろう。
再び沈黙が生まれて暫くすると吉野先生が帰ってきた。
小松田さんとはさして仲良くもならないままその日は過ぎた。
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
