第三十一話 毒蛇 ページ33
後ろにはでかい蛇、前には毒蛇。詰みである。
無抵抗の証の如く、レッサーパンダの威嚇の如く手をあげる。
抵抗も虚しく両方の蛇が近寄ってくる。
「なるべくディスタンスをお願いしたいんですけど…無理ですよねぇ知ってます。」
蛇達は私の足元までくると私を登り始め首と胴体に巻きついた。
緩く、緩く、力が強まって言っている。
ような気もしなくもなくもなくもない。
ふと、蛇は大きい生き物を絞め殺してから食べる事があるということを思い出した。
…
あ、これ本格的に殺されるヤツだ。
悟った。
死を。
食べられるわこれ。
首に巻きついている体長約50cm程のこの蛇、ハブだかマムシだかは忘れたが毒蛇なのは知っている。
なぜ知ってるのかというと、
以前例の人が運命の再会だとか言って写真を見せてきたのだ。
それもしょっちゅう。
聞いてもないのにプロフィールを延々と話続けられたこっちの身にもなって欲しい。
ついでに
きみこの方はアオダイショウだから飼えるけどジュンコは飼えないのだと
僕達の愛を法律が引き裂くのだと嘆いていた。
今はどっかの森か林かで密会してるらしい。
そして彼の人はしょっちゅう蛇やら虫やらを脱走させる。
自由がすぎる。
とまあ私の蛇語り?人語り?はこの辺にしてこの二匹がいるということは当然飼い主が探しに来る。
「ジュンコー!!!!!きみこー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!一体どこに…って僕のジュンコときみこに何してるんですか!?!?!?」
「…絶賛絞め殺しからの捕食待ちです。」
「なんだって!?ダメだよジュンコ、きみこ!!そんなばっっっっっちい人食べたら!!!!お腹壊してしまうよ!!!!!!早く離れて!!!!!!」
血相を変えまくった伊賀崎孫兵が二匹を呼ぶとスルスルと拘束が解かれ孫兵の元に行った。
こいつ今私のことばっっっっちいって言ったな。
失礼にも程がある。
震える右拳を抑え、奴の方に目を向ける。
目に涙を浮かべながら二匹とハグをしていた。
「大丈夫かい？怪我はないかい？もう僕が来たから安心してくれよ。二人が悪事に手を染める必要は無いからね!!」
なんもしてないし、怪我するとしたら私だし何より蛇に手はない。蛇足か。手だけど。
なんなんだこの茶番は。
もう帰っていいわよね。
呆れ返りながら孫兵を見ていると孫兵が振り返りこちらを見た。
「失礼ですがなぜ天女様があのような状態に？」
ただの食器返した後に自室へ戻ろうとしただけです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
