第二話 胡椒 黒木side ページ4
「先程はありがとうございました…おかげで山賊から逃げることができました。」
彦四郎も気がついたのだろう。怯えながらだったが彼女にお礼を言った。
突然僕らに引っ張られて走ったせいか息を整えていた彼女が僕たちをみると
「い〜え気にしないで下さいな。私はこれがほんとかどうか確かめたかっただけなの、胡椒をかけると本当にくしゃみするのね〜…」
と先程山賊にかけた粉をじゃじゃーんという効果音がつきそうな感じで僕たちに見せる。まさか先程の粉の正体が胡椒だったとは。
天女様がいる時代がどうなっているのかは知らないが僕たちの時代ではとても高価なものだ。
驚いている僕たちをみて、あ、やばこの時代胡椒高いんだったとぼそりとつぶやいて静かに胡椒をしまった。
「と、ところでお名前を伺っても宜しいですか。僕は今福彦四郎です！」
「僕は黒木庄左衛門です！」
これでも忍者の卵。相手の情報を聞き出そうとして自己紹介をし始めた彦四郎に続いて僕も自己紹介をした。
「ご丁寧にありがとうございますね〜。私はAAって言います。…あ〜服が奇抜で驚いたでしょう？実は南蛮からきたんです〜」
恐らく南蛮とだったと言うのは嘘だ。
南蛮にこんな服装があるなんて聞いたことがない。し、少なくともこういう服を着て来た南蛮人を見たことも聞いたこともない。あとかなりわかりやすく目が泳いでる。
これは僕たちを驚かさないようにするための嘘か、それとも天女だと悟らせないようにするための嘘か。
この人は間違いなく天女だろう。それもいつもの天女様よりこの時代に詳しい。何度も起きた悲劇が、僕たちの経験が、そう言っている。だから警戒は解かない。
でも、
それでもなぜだか不思議とこの人は大丈夫なのではないかと思ってしまった。そう思って何度も裏切られてきたけど。まあこんなこと言ったらは組のみんなは怒るだろうけど。
一先ず彼女を学園に連れて行こう。僕たちだけでは判断できない。彦四郎もそう思ったのか僕に目配せした。僕はそれに頷いて「助けてくれて本当にありがとうございました！実は僕たちここの近くに住んでいるんです！よければお茶だけでもしていってください！」と言ってみた。
「ちょうどどこかで休憩しようと思っていたところです〜それでしたらお邪魔させてもらいますね。」
手をパンと叩きにっこり微笑む彼女を連れて僕たちは忍術学園へと歩を進めた。
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
