第二十六話 選択 ページ28
五六年生でやった会議で出された例の作戦には参加しないと言ったが五年い組久々知兵助は先程の天女が気になって様子を見に天女の部屋の屋根裏へ忍び込んでいた。
いつも開けるはずの天井板が開かず不審に思いつつも別の板をめくった。
未婚の女性の部屋を覗くのはどうかと憚られるがもし悪さをしていたらそんな事を考えているバヤイではないと己を正当化して中を覗いた。
因みに天井板を開かないようにしたのは天女である。
用具倉庫にあった用具を借りて直したようだ。
久々知兵助が見たものは床にヘタリ込み意識を失っている天女の姿だった。
天女の部屋へ降りたち、近くで見るとどうやら本当に気を失っているようだ。
恐る恐る天女の額に手を伸ばし熱を測る。
｢…思ったより熱いな…｣
天女と言えど人である。風邪くらいひくのであろう。
こんな所で放置されれば悪化するだろう。
人間は脆い。
この十四年生きてきて痛いほど学んだことだ。
こんな風邪でも最悪死ぬやもしれない。
それが自分の本望でもあるし皆喜ぶに違いないだろう。
そう放置すればいいのだ。
久々知兵助は暫しの間葛藤した。
その結果。
久々知兵助は天女を横抱きに持ち上げ、布団に寝かせた。
そうつまり助けたのである。
天女が来てから書類に不備が少なくなったのは事実である。だからもし死なれては自分達に不都合なのだ。
それに天女に恩を売っておくというのも良いだろう。
だからこれは決して良心から来るものでは無いのだ。
己の利益のためである。
久々知兵助は眠っている天女を見下ろしながらそう言い聞かせた
．
冷たい。
Aは目を覚ますと倒れていた時と違う体制のことに気づいた。
布団の上で眠っていることも頭に濡らされた手ぬぐいが置かれていることにも気がついた。
親切と言えば良いのか侵入者と言えば良いのかは分からないが看病してくれたのは事実であろう。
それにご飯も置いてくれたらしい。まだ暖かい。
起き上がってそれに手を伸ばしてみるとそれは湯豆腐であった。
豆腐。
これだけで誰か分かるものなのか。
確かにこういう時に豆腐はいいと思うけど。
私はそれを掬って口に運んだ。
つるりとした食感に優しいのどごし。
端的に言うとめちゃめちゃ美味しい。
病人にもかかわらずすぐに平らげてしまった。
ご馳走様でしたと手を合わせると同時に上から人が飛び降りてきた。
心臓が止まりそうな程には驚いた。
私そこの板閉じたよね？
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
