第二十話 感想 ページ22
片方の前髪を退けると隠れていた片目が露になり、目が合った。
またもやつい癖で触ってしまったことに気づいてパッと両手を挙げる。
しかしそんな私の行動に綾部はただただこちらを真っ直ぐ見ているだけだった。
暫しの沈黙を破ったのは昼休みを告げる鐘の音だった。
「もう行かなきゃ。じゃあね綾部。」
そう言ってその場を後にしようと立ち上がると
「引っ張って下さいよ。」
と言い手を差し出してきた。
これはしない方が吉である。
「綾部なら上がれるでしょ。」
眉を下げ、苦笑いを浮かべて今度こそその場を後にした。
遠のく天女を見送り、
「まあ確かに上がれるけど。」
そう言って綾部は軽々と穴から出た。
綾部喜八郎は天女への憎悪が人より少ない。
無論、三人の天女に関してはこの世を去った事に後悔は全く無いし安堵すらある。
では何故五人目の天女と関わったのか。
顔に惚れた？気になったから？妖術のせい？信じたいと思ったから？
否、ただただ偏見が無いだけである。
一人目も二人目も四人目も自分で関わってみてから判断するのだ。つまり今回の天女も例外ではない。
ただ判断するためだけに関わった。
皆天女と言えども全て別人。思想は全員別である。
天女の綾部への行動が吉と出るか凶と出るか。
それは綾部だけが知るのである。
「喜八郎ー!!!!!!」
綾部喜八郎はキレながら自分の名前を呼びこちらにかけてくる同室にげ、という顔をする。
「お前また穴など掘って!!泥だらけじゃないか!!スーパースターである私に探させるなんてぐだぐだぐだぐだ…」
「お腹空いたなぁ。食堂行こっと。」
「あっおい待てキハチロー!!そんな泥まみれで食堂に行っては食堂が汚れるだろう!!まずは風呂だ!!風呂!!」
「えーなんで滝夜叉丸、お前の言う通りにしなきゃならないのさ〜。」
「なんでもだ!!このスーパースター平滝夜叉丸の同室なら身なりくらいしっかりしろ!!」
滝夜叉丸に腕を引かれ風呂に向かう中綾部喜八郎は先程の話を端的に話した。
「ほう、もうあったのか。それなら私も恐らくだが先程走って行く天女様を見かけたぞ。美しさだけならこの私に負けず劣らずだな。もしかしたら新たな強敵となるやもしれん…!!それでお前はどう思ったんだ？」
綾部喜八郎は彼女の顔を思い出しながらこう言った。
「うーん特に何も。…あ、名前聞き忘れた。」
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
