第十一話 再会 ページ13
「居ますよ。どうぞ入ってくださいな。」
来訪者はやっぱりさっき別れた庄ちゃんと彦ちゃんだった。
「よかった。まだ生きてた。すみません、いきなり来てしまって。」
何だその言い方。まるで天女がすぐ死ぬマンボウみたいな言い方をするじゃないか。
強ち間違いじゃないかもしれない。
部屋に入るよう促して座布団に座らせると庄ちゃんが口を開いた。
「Aさんがご無事かどうか知りたかったんです。あのあとすぐに行かれてしまわれたので。」
「ごめんなさいね〜。嘘もついちゃったし。見ての通りよ。…あ、そういえば二人にお願いしたいことがあるんだけど。」
お願いがあると言った瞬間若干二人の顔が強張った気がする。
まあ無理もないか。
「そんな変なお願いじゃないわ。私のこと、これからは天女か常光寺珀莉のどちらかで呼んでほしいの。」
「え、あ、それだけでいいんですか。」
「？ええ。これだけだけど。」
「逆じゃないんですか？僕てっきり天女様って呼ばないでって仰るのかと思ってました。」
拍子抜けした様な顔で彦四郎が言う。
「何故でしょうか？」
どう誤魔化そうか。
あの時咄嗟に名前を変えたのは町で働く予定だったのもあるけど私でもわかるほどにピリピリとした空気感。あの状況で自分の名前を言ったからってはいそうですか久しぶりなんてならないのは馬鹿でもわかる。
寧ろ偽ったことで殺されてたかもしれない。
まぁ自分が覚えてもらえるほどの人間だと思ってるわけじゃないけど一応ね。
それにあの日記を読んで確信した。もし幸運にも上級生達と仲良くしてもらえても下級生の彼らからすると妖術に掛かったなんて思われて天に返されるかもしれない。
「ん〜厨二病だからかな〜。」
「厨二病？ですか？」
「うん。そういうお年頃〜」
「よくわかりませんが取り敢えず他の皆がいる時はAさんが言った通りにします‼︎」
「うん、ありがとう。」
「いえ、あと僕たちがここに来た理由のもう一つがあって。僕たちAさんのこと全部信じてるとは言えませんが少なくとも悪い人とは思っていないんです。だからAさんがここで生きていけるよう出来るだけ尽力します。」
「そっか。ありがとうね。」
こう言うところがここの良いところであり欠点なんだろうな。
今まで良い人のふりしてそこに付け入った人だっているだろうに。
私がそうかもしれないのに。
庄左ヱ門達二人が去った後Aは一人そう思うのだった。
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うん！ - ほうじ茶さん» お褒め頂きありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです (1月21日 2時) (
レス) id: 7fb5738de5 (このIDを非表示/違反報告)
ほうじ茶 - 今まで読んだ天女作品の中でダントツ面白いです！こういう性格の子好きです (1月18日 23時) (レス) id: 47dba8b665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うん！ | 作成日時：2023年12月24日 1時
