敵の姿−14− ページ44
夜、スーツケースが発見された遺体場所に中堂とAは赴く。
“解体工事のお知らせ”と看板が出ていた。
『中堂さん、蟻が死んでます』
「蟻?」
床を懐中電灯で照らすとそこには蟻の死骸が5匹いた。
−ガチャッ
ドアの開く音に2人は影に身を潜める。
中堂はAを背後に匿うと、コツコツと近づく足音の主を捉えた。
「きゃ……ちょ、」
『え、ミコト?』
「何してる」
「こっちのセリフです……離してください。無関係な人だったら大事ですよ」
掴んでいた手首を解放すると、中堂は吐き捨てるように言った。
「無関係なやつがこんな時間にこんな所へ来るか」
「犯人の手かがり捜しに来たんですよね。何か見つかりましたか?まぁ、あらかた鑑識が持って行った後ですもんね」
そう言いながらミコトはランタンをテーブルの上へ置いた。
「お、おい、つけるな!外にバレる」
「ちゃんと西武蔵野署の許可を貰ってきました」
『さすがミコト!』
「Aも不法侵入しないで、許可取ればよかったじゃん」
『ごめん、すっかり頭から抜けてた』
ミコトは懐中電灯を照らしながら言う。
「ここで発見された橘芹菜さんは靴を履いていて、糀谷夕希子さんの靴は見つかっていない」
『うん、それがどうかしたの?』
「二つのご遺体の共通点って何だろうって考えててさ。そうしたら違いが気になって。夕希子さんが失踪時履いていたのは編み上げのエンジニアブーツ。トートバックも持っていてそのどちらも未だにみつかっていない」
ミコトの言葉をAと中堂は黙って聞き続けた。
「なるべく証拠を残さないために靴やバッグを持ち帰ったと思ってたんです。でも、橘芹菜さんのスニーカーは履いたままだった」
「つまり何だ?」
「犯行場所の違いではないでしょうか?中と外。橘芹菜さんは屋外で殺されたから靴を履いたままだった。でも、夕希子さんは室内で殺されたから靴を履いていなかった。編み上げブーツを脱がせたり履いたりするのは大変です。夕希子さんが自分で脱いだと考えた方が自然」
『なるほど……』
.
1233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい!更新楽しみにしてます! (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね!完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです!優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後(完結)になるんだろう?中堂さんとの関係は?とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい!更新、楽しみにしてますw (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鞠香 | 作成日時:2018年3月11日 14時