檸檬の香りに沈む３【アンナチュラル 】

殺人遊戯−05− ページ5

学校法人私立翠川高等学校。

ミコトは弟に呼ばれ、その高校の職員室へ向かう。
その間に夕子と久部は辺りを探索し、アスファルトに見つけた血痕をルミノール液で調べていく。

夕子はルミノール液が入ったスプレーボトルを久部に自慢げに見せると言った。


「しかもこれ、フランスの企業が特許を持つ輸入品で日本の捜査で使ってる物より見え方がクッキリ５倍」

「へぇ……」


久部は傘に暗幕をつけたものを広げると中に夕子を招き入れ、２人はしゃがみ込むとアスファルトにルミノール液を噴霧する。

それはハッキリと青く光る。


「５倍」


驚く久部に夕子は両手をパーにして言う。


「お値段10倍！」


その言葉に驚愕して久部は目を見開いた。
ルミノール液で調べた結果、血痕の始まりは体育備品庫と言う事が判明した。
ミコトと合流し、中を調べると包まれたマットにベッタリと血液が付着している。

ここが殺害現場だと言うことは想像に容易かった。夕子はその血液がＹくんと同じ物か調べるためラボへ戻り、久部はミコトと職員室の方へ戻ってまた動画を見ていた。

ピコン。
動画視聴者が３万人に到達した音が鳴った。


「《あっ、３万人。ヒントの時間です。Ｍ先生、背中を見せてあげる》」


白井はそう言うと、Ｙくんの方へカメラを向け、ご遺体の服を脱がそうとする。しかし、硬直が進み脱がすことが出来ない。
すると白井はナイフを持ち出し、服を切り始めた。そのナイフは血がべったりとついている。

ミコトはＹくんのご遺体の所見を口にする。


「皮下出血が三ヶ所、傷口が三ヶ所。全て紡錘形。致命傷は肝臓。出血量から考えて、肝動脈を傷つけての失血死。刺されてすぐの即死ではなく徐々に血液が体外へ流れ出た。５分から10分は生きていたはず」

「それ、黙って見てたって事ですか」

「凶器は肉厚な有片尖刃器。一方がギザギザだからサバイバルナイフのようなもの」

「《ヒントタイム終了。次のヒントは視聴者５万人》」


ミコトは録画した動画を巻き戻してご遺体の傷を確認する。


「この皮下出血、背中の傷に符合してる。これは凶器の刃渡りがあと１センチでも長ければ皮膚を貫通してる。ギリギリ貫通しなかったから、内部の出血が皮下出血として現れた」


その横で久部はミコトの言った所見と推察をまとめていく。





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