敵の姿−06− ページ36
−ピピッ、ピピッ
検査室で薬毒物の検査結果を全員で待っていたその時、作業の完了音が鳴った。
その間、中堂が辛そうに眉間を押さえているのをAは見つめていた。
「薬毒物検査の結果200種類どれも引っかからなからず」
「ニコチンは出てないか?」
「出てません」
疑っていた可能性を聞く中堂に夕子は淡々と答えると、更にミコトが質問する。
「胃の内容物は?」
「腐敗で分解が進んでよく分かんないけど成分からすると加工肉」
「ソーセージとかですか?」
「うん、そんな感じ」
久部の予想に夕子は頷く。
『でも、異様に腐ってたのはなんでかな?細菌が繁殖して腐敗を早めたとか?』
「腐った食べ物をわざと食べさした。犯人は毎回犯行の手口を変えてる。殺しを楽しんでるからなんでもアリだ」
「じゃあ、細菌検査が必要だね。死因に関係あるかもしれない」
ミコトの言葉に夕子は頷いた。
「培養して調べてみる」
「最短で何日だ!?」
食い気味で聞く中堂に、夕子は気まずそうに答える。
「ど、どんなに急いでも、培養に3日は」
「……頼んだ」
そう言って肩を落として去って行く中堂を4人はなんとも言えない表情で見つめた。
「あれからずっと静かっすね」
お昼を外で食べていると六郎は呟く。
「おとなしすぎて気持ち悪い」
ミコトは丼の米を頬張った。
「また解剖室にいるみたいですけど、いいんですか?」
「必要な証拠は採取したし、検査結果が出るまで何もするなって言う方が酷じゃない?」
ミコトの言葉に夕子は不服そうに言う。
「何か調子狂う」
「うん?」
「傍若無人でムカつくオラオラ男が恋人殺されてずっと一途に犯人追ってたなんて……どんな目で見ればいいの?それにさ、Aはずっとそれを知ってて中堂さんの側にいるんでしょ?なんかもう、それも辛い」
落ち込む夕子にミコトはあっけらかんと言う。
「いいんじゃない?今まで通りで。Aも中堂さんの側にいる事は自分で望んでしてる事だし、中堂さんはそういう過去がなかったとしても、傍若無人のオラオラ男だよ」
「言いますね」
「そっか」
ミコトに同意しながら夕子は笑う。
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい!更新楽しみにしてます! (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね!完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです!優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後(完結)になるんだろう?中堂さんとの関係は?とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい!更新、楽しみにしてますw (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年3月11日 14時