檸檬の香りに沈む３【アンナチュラル 】

敵の姿−04− ページ34

−所長室


「赤い金魚が正式な証拠と言えないっていうのは？」


先程の警察の対応に疑問視する久部にミコトは答えた。


「どれも中堂さんとAが独自で調べて見つけたものだから」

「でも、中堂さんの恋人の遺体は司法解剖したんでしょ？その時の写真なら正式な証拠じゃん」


夕子の言葉に神倉は言う。


「夕希子さんの最初の鑑定は不採用になったんです。８年前、夕希子さんの他殺体が運び込まれたのは中堂さんが働く日彰医大の法医学教室でした」

「えっ？」


驚く夕子にミコトは補足する。


「中堂さん何も言わず解剖したんだって。自分の手で犯人の証拠を掴むために。そのせいで恋人を殺した容疑をかけられ、中堂さんの鑑定書は不採用となった。しかも、その時の解剖に記録係として立ち会ったのがたまたまアルバイトしていたAなんだって」

「えっ、そうなの？」

「はい。そして、別の解剖医が行った再鑑定では口腔内の写真は撮られませんでした」

「口内炎くらいじゃ写真撮らないもんね」

「後の２人は？」


久部の質問にミコトは答える。


「４年前の赤い金魚は法歯学の教授の資料から偶然にAが見つけたもの。ほら、Aってよく色々な大学に出入りしてるでしょ？それもこの事件の犯人を探すためでもあるんだって」


ミコトは写真をテーブルの上に置く。


「そして半年前の赤い金魚は葬儀屋のルートから見つけ出して違法に撮影したもの。葬儀場で遺族に解剖をお願いしたんだけど、拒否されて地元警察にも信じてもらえなかったって」


夕子と久部はその写真を眺める。


「いや〜実は私もね半信半疑でしたよ。今回のご遺体が出るまでは。警察には私の方から働きかけてみます。皆さんは橘芹菜さんの死因の究明お願いします」

「はい」


神倉の言葉にミコトは頷いた。





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