敵の姿−16− ページ46
夕子はシャーレを持って立ち上がった。
「蟻の検査行ってくるアリ」
『夕子〜よろしくアリ』
「あ〜あ」
溜息を吐きながら出て行く夕子を見ながら、ミコトは言う。
「あっ、あれだ。からかい要員六郎が不足してるのかも」
『確かに』
「あれ?久部くんどこ行った?」
「急ぎの用事があるって出て行きましたけど」
ミコトの言葉に神倉は神妙な面持ちをうかべた。
「この子知ってますよね?」
その頃、久部は宍戸と密会していた。
スマホに出したSNSの画像を久部は宍戸へ見せる。
「大崎めぐみ。3日前から姿が見えず連絡も取れないそうです。どこ行ったか知りませんか?」
「何で俺が?……ああ。そう言えば、バーのマスターに付きまとわれてるって言ってたな。黙っていなくなっただけだろ」
久部はこの前宍戸から渡された事件のコピーを手に持ちながら言う。
「この4つの殺害事件。共通点は若い女性の被害者ってだけです。どうして同じ犯人だと思ったんですか?」
「……強いて言うならどの被害者も人生の転機を迎えてた」
「転機?」
「春になってやっと看護師になれる。揉めてた男とようやく別れた。就職が決まり新生活が始まる。犯人は未来ある女性を選んで殺したのかもしれない」
「そんな事出来ますかね?」
「出来たんだろうな。この犯人は極めて慎重で優秀な人間だ。このまま捕まらないかもしれない」
不敵な笑みを浮かべる宍戸に久部は週刊誌を見せる。
記事には“10名死亡の火災ビルの隣で発見!!スーツケース詰めされた女性遺体”と書かれている。
「この写真が撮れたのはどうしてですか?遺体がここにあるって知ってたんじゃないですか?」
「俺が殺したって疑ってる?橘芹菜の死亡推定日は28日なんだろ?俺にはアリバイがある。殺した凶器だって家にはねぇぞ」
「ボツリヌス菌は家庭でも発生します」
「ぼっ……ボツリヌス菌?くっ、ハハハ。ぼっ……ハハ。UDIも大した事ねぇなぁ。Bはもうやった!A、B、C、D、E……」
「Fがなんですか?」
「中堂先生に伝えとけ。早くしねぇと間に合わねぇぞ」
立ち去る宍戸に久部は首を傾げた。
「F?」
そう呟くと手元のコピー紙を見返した。
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい!更新楽しみにしてます! (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね!完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです!優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後(完結)になるんだろう?中堂さんとの関係は?とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい!更新、楽しみにしてますw (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年3月11日 14時