殺人遊戯−11− ページ11
「《M先生、問題の答えはなんですか?Yの死因は何ですか?》」
「死因は……刃物による自 殺」
その結論に白井はわなわなと震えて叫んだ。
「《違う……全然違う!大ハズレ!》」
「ここまでが、法医学的見解。ここからは法医学者ではなく、私個人の見解として話をします」
ミコトの声に白井は黙る。
「これまで、多くのご遺体を見てきた。ご老人から小さな子供まで。いつも思う。何故、この人は死ななきゃならなかったのか……Yくんの背中には沢山の痣があった。日常的に暴力を受けていた痕。執拗に繰り返され、治るより前に次の痣がつけられた。そんな暴力が見過ごされた。追い詰められた彼は最悪の選択をしてしまった」
ミコトは一拍おいて、話を続ける。
「法医学的には自 殺。でも、私は殺されたんだと思う。法律では裁けない、いじめという名の殺人。あなたはそれを大勢の人に伝えたかった」
「《そうだ。殺された。あいつらに……僕に》」
白井の瞳から涙が一筋溢れる。
「《僕も助けなかった。助けてくれたのに》」
白井は思い返す。
いじめられていた事、Yくんが助けてくれた事、Yくんが殴られているところを助けてあげられなかった事。
「《視聴者10万人。もう1人、殺さないと》」
白井は立ち上がるともう1人を連れてくる。ミコトの横で校長が叫ぶ。
「学校に非があったのは認めます!だから辞めなさい!」
画面に映ったもう1人は明らかに人ではなかった。
「人形……?」
「じゃあ、もう1人って言うのは」
秋ちゃんの言葉にミコトは気付く。
「自分、自身……」
白井くんはパソコンの前に戻るとパプリカのモザイクを外した。
「《僕は私立翠川高校、1年A組の白井です。死んだYと僕はいじめられてました。同じクラスの小池と澤田と松本に。これは遺書です。これで終わり。僕は、僕を殺す》」
ナイフを首に当てがう白井くんにミコトは叫ぶ。
「まだ終わってない!質問に答えて!あなたが死んで、何になるの?」
「《何に?》」
「あなたが、苦しめた人の名前を遺書に残してそれが何?彼らはきっと転校して、名前を変えて、新しい人生を生きていくの。あなたの人生を奪ったことなんてすっかり忘れて生きていくの。あなたが命を差し出しても、あなたの痛みは決して彼らに届かない。それでも死ぬの?」
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい!更新楽しみにしてます! (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね!完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです!優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後(完結)になるんだろう?中堂さんとの関係は?とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい!更新、楽しみにしてますw (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年3月11日 14時