過去を捨てて【中堂系】

不自然２２ ページ31

自分の口角が上がっていくのを感じながら、
自然を装って問う。


系くんがこうなるのは、年に一度あればいいレベルだからね。
機嫌を損ねないようにしないと。



「何か食べたいものあるの？」
中「…お前の、手料理が食べたい」


耳を赤くしてそっぽ向く系くんに、
開いた口が塞がらない。


…こんなこと言うなんて、予想外だ。
しかも、ラボで。

今まで私の手料理がいいなんて聞いてことなかったし。
…美味しいとかの、感想も。



ハッと我に返って周りを見渡すと、

実験していたはずの三人が手を止め、
私と同じように口をあんぐり開けてこっちを見ていた。


ミ「中堂さんが…」
夕「すごい最近デレるよね…」
六「やっぱり今井さんが入院してたのが大きいんじゃないですか？」
ミ「二人の時間を大事にしよう、みたいな？」
夕「私たちがいる前でしなくてもいいじゃない…！」


彼氏欲しさに異性間交流に通い詰めている夕子は、
キーッと系くんを威嚇しているけど、

当の本人は、全く気づくことなく
私の手をいじっている。


中「…悪い、か？」
「い、いや全然いいけど…そんなこと言うの珍しいから」
中「た、たまにはいいだろ！」
「…私の料理、美味しい？」
中「…不味かったらと、毎日弁当食べないだろ」
「直接聞きたい」

うっ…と詰まる系くんを四人で見つめる。




…さぁ、系くんは「美味しい」って言ってくれるのか…！？

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