過去を捨てて【中堂系】

不自然１７ ページ26

裁判当日。
私は系くんと、坂本さんの代理人のもとへ向かった。


「ミコトたち、大丈夫かなぁ」
中「さっきからそればっかりだな」
「やっぱり気になるじゃん。ミコト初めての証人だよ？」
中「そんなに気になるなら三澄たちの方に行けばよかっただろ」
「系くんを放って行けるわけないでしょ！」
中「なんでだ。一人で行ける」
「一人で行ったら何言うか分かんないし」



神倉所長はお忙しくて付き添えないから私が派遣されたわけであって、
私も決して付き添いたくて付き添っているわけではない。ここ大事ね。



指定された喫茶店につくと、代理人さんが立って待っててくれていた。
お辞儀をして席に着くと、早速示談の条件を提示された。


代理人「早速なんですが、坂本さんは中堂さんに辞職または謝罪と慰謝料を求めています」
中「断る」
「ちょちょっ！ちょっと待って！」


席を立とうとする系くんを慌てて腕を引いて座らせる。
なんで止めるんだ、とでも言いたげな系くんを目で制止する。



「系く…あ、えーと中堂さんが暴言を吐いた証拠ってありますか？
　じゃないと、この人納得しないので…」
中「あ？俺がいつ暴言吐いたって言うんだ」
代理人「それなら、ここに」


代理人さんがファイルを取り出して何かのコピーを見せてくれた。
そこには、何時何処で何を言われたのかが詳細に書かれていた。


代理人「坂本さんは、合計108回言われたと主張しています」
「108回！？」
中「そんなに数えてたのか！？信じ難い…」
「言う方が信じ難い！私それ以上言われてるってことじゃん！」
中「お前はいいだろ、何言われても嬉しそうだからな」
「そっ、そういう問題じゃないでしょ！」



とりあえず一旦持ち帰らせてもらって、所長と相談することにした。
これは骨が折れそうだ…。

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