予定外の証人−04− ページ23
検事はしずくのマネージャーを証人として、質問を開始する。
「遺体を発見した時どう思いましたか?」
「要一さん、ついに殺しちゃったかって」
「夫婦はかなり贅沢な暮らしをしていたようですが、それはしずくさんの収入のおかげでしょうか?」
「いいえ、要一さんが両親から引き継いだ資産のおかげです」
「無職と罵られていたが、財産は被告人のものであったと」
「はい。それなのにしずくさんは感謝するどころか要一さんをバカにしています」
次は被告人の義弟。しずくの実弟である刈谷へ質問が始まる。
「要一さんは義理の弟の私に神田で京料理の店を出させてくれたし、よくしてくれてたんです。だからこうなる前に一言相談して欲しかった」
「被告人はどういう性格ですか」
「普段は温厚です」
「違う時もあったということですか?」
「前にゲームをした時、負けたら物凄くムキになって……カッとなりやすいのかなって」
そして、ミコトの証言が始まる。
「刺し傷から推測される凶器は刃渡り18から20センチ。最大幅5センチの有尖片刄器と呼ばれる形状です」
「有尖片刄器とは?」
「簡単に言うと片刃の包丁のようなものです」
「供述明確化の為検察官請求証拠 甲第15号証を示します」
烏田検事は証明書である紙を裁判官に見せる。
そして、ジップロックに入ったセラミックの包丁を掲げた。
「現場のキッチンには4本の包丁がありました。これがそのうちの一本です。洗われていましたが科捜研での鑑定の結果、被害者の血液が検出されました。この包丁についてどう言ったことが言えますか」
「サイズと形状から凶器と考えて……え、矛盾はしない」
「矛盾しない。凶器と傷口が一致するということですね。刺創管については?」
「刺創管というのは、刺し傷の通り道のことで……」
ミコトは傍聴席に戻ると、夕子が小声で労う。
「お疲れ」
「緊張した〜」
『お疲れ様。じゃあ、わたしそろそろ行くね』
「うん、来てくれてありがと」
Aは立ち上がると手をひらひらさせて法廷から出て行った。
その後、事件が起こるとも知らずに。
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです!そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか? (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年1月31日 23時