予定外の証人−02− ページ21
神倉は小さく溜息を吐くと言った。
「それもあるけど、中堂さん今訴訟抱えててさ」
「訴訟？」
『誰にですか？』
「坂本さんに」
“UDIで働き始めて３ヶ月。その間ずっと法医解剖医の中堂系からのパワハラが続いていた。彼とこれ以上働くのは苦痛である。よって、中堂系への辞職を求める。”
これが坂本さんからの言い分だった。
神倉は今にも頭を抱え込みそうな表情で言う。
「中堂班を３日で辞めた人はいたけど、辞めさせようとした人初めてですよ」
「坂本さんガッツありますね」
「ほめるな」
ミコトの言葉に中堂も思わず突っ込む。
『中堂さん、どうするんですか？』
心配そうに眉を顰めるAに、中堂は淡々と返す。
「無視だ」
「無視出来ませんよ。うちの監督責任にもなりますし、労基に訴えるとまで言ってるんですよ」
「……事情はわかりました。代理証人の件は私がお引き受けします」
「お願いします」
こうして、ミコトは裁判に出ることになった。
−裁判当日。
「そう言えば、証人ってAさんでも良かったんじゃないんですか？」
裁判所へ向かう道中、久部のその言葉にAは曖昧に笑った。
『今日は予定入ってて。ここも裁判が終わるまでいられないかも』
「そうなんですか……予定って？」
『母校で法医学についての公演頼まれちゃったんだ』
そういえばAの格好はしっかりとスーツを身にまとっている。
「へぇー母校ってどこの医大なんですか？」
『……日彰医大だよ』
「日彰、医大……(Aさんは頭もいいのか)」
裁判所内へ入ると、想像よりも傍聴人は少なかった。思わず夕子は声を上げる。
「人少なっ」
『世間は飽きるの早いよね』
「まぁ、量刑を争うだけの裁判だからね」
「妻を殺したって夫は認めてるんですよね？」
「殺害時は心神耗弱状態にあったと主張している。情状酌量の余地がどれだけあるかが争点」
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
