Tell me why 03

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｢香港出身の李さん確認とれましたー｣


ビル火災が起きてから数日経って、続々とご遺体の身元の確認がとれてきた。

ご遺体の番号や特徴が書いてあるホワイトボードは判明という赤い文字がどんどん増えていく。


「問題の9番が残っちゃいましたね…縛られて殴られて焼死した男性｣

｢わかってることは、30代後半から40代前半。AB型。｣

『脇腹に完治した内視鏡手術の跡あり』

｢各病院から上がって来た患者リストの中に、9番さんに該当する人はなし｣


残念ながら1番身元がわかってほしい9番さんの身元だけがなかなかわからない。


『あ、でも、病院から返答来てないとこもあったよね？』

「はい、電話して確認します」

「歯の治療痕からは？」

「まだ近隣の歯科医院しかあたれてません。全国に拡大して探すとなると、こりゃ時間がかかるでしょう｣

｢歯のデジタルデータがあれば一瞬ではじき出せるのにアナログですよ｣

『まあ、歯科医院は殆どが個人経営だし、紙カルテのとこもまだ多いからね』


個人情報をどこが管理するのかって話にもなるし、現実的になかなか難しいものがあるのだ。


「実を言うと…UDIラボが当初の予定通り国立の研究所として、全国展開していれば、実現するはずでした。露と消えましたけど」


神倉さんは悲しそうなに呟いた。


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