魔界【くろのわ】 (ページ8)

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【舞踏会】キングページ8

「お前、俺のフィアンセに何してくれてるんだ？」

いつの間にか女の背後に立った葛葉は、その女の細い首を掴んだ。
反対の手で僕を引き寄せられて、葛葉の後ろに隠れた。

「叶、こっち見るんじゃねぇぞ。」

ぐしゃりとした音が聞こえた。

「お前もこうなりたくなかったら、失せな。」

僕らを引き離した女が逃げるように戻って行った。
葛葉はマントで僕を隠すようにしてその場を離れた。

会場を出て、サーシャの部屋に戻った。
サーシャのベッドに座らせてくれた。
葛葉は僕の前で片膝立になった。

「ゴメンな。嫌な思いさせてしまった…」
「そんな顔しないでよ。葛葉が助けてくれたから大丈夫だよ。」
「でも、怪我させちまった…」
「こんなの、舐めとけば治るって。」
「そうか。」

そう言って僕の怪我した手を掴んだ。
そしておもむろに怪我している所に顔を近づけてきた。

何するのと思いただ眺めていると…
ペロッと傷口を舐められた。

予想外の行動に僕は固まってしまって動けない。

葛葉は、ペロペロと傷を舐め上げていった。

「これでいいな。」
「えっ？」
「傷は舐めると治るって叶言ったよな。」
「…言ったけど。」

僕は葛葉の考えが読めなくて、ただ困惑するしかなかった。

「言った通り治ったぞ。」
「へっ？」

傷口は確かに塞がっていて、もうどこだったか分からなくなっていた。

「何で？」
「吸血鬼をなめんじゃねぇよ。」

いつもより低音で変わらずハスキーボイスにドキドキが止まらないよ。

「あっ…ありがとう。」
「フフッｗｗどうしたんだよ？いつもの叶じゃねぇじゃん？」
「だって…」
「何だよ。」
「葛葉、かっこ良過ぎて…」
「はぁ？…かっこよく…ねぇ…し…」

葛葉顔真っ赤にして俯いた。

「ハハッｗｗ良かった！いつものくーちゃんで！ｗｗ」
「やめろ、その呼び方！お前もいつもの叶で安心したわ。」

今まで正直ちょっと緊張してたから、なんだか久しぶりに笑った気がする。