魔界【くろのわ】 (ページ50)

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【衝動】優しさページ50

物音しない部屋に、魔界に帰っちゃったんじゃないかって凄く不安になる。
寝室を覗くとベッドにいてホッとして、涙の痕を指で拭ったら起きちゃった。

「かな…え？」

掠れた声で僕の名前を呼んだと思ったら勢いよく飛び起き、ベッドを挟んで対峙している状況。

「ゴメン…」

か細い声で謝ってきた。

「吸血衝動は？」
「大丈夫！もう叶に…っていうか人間には近付かないから！こんな恐ろしいヤツ、明日にはいなくなるから！」

涙を流しながら畳掛けるようにそう言われた。
待って？いなくなるって？

「何でいなくなるのさ？」
「恐ろしいだろ！お前を襲おうとしたんだぞ！？暴れ回って…」

嗚咽を漏らしながら泣いてしまった。
僕は葛葉の方に回って抱きしめた。

「落ち着いて。確かに怖かった。でもいなくなる方がもっと怖いんだけど？」
「でも…」
「僕が悪かったんだよ。帰れって忠告してくれたけど従わなかった。僕が出て行ってれば人間はいなくて衝動が出なかったかも。ゴメンね辛い思いさせて。」
「お前は悪くない…」
「僕のせいだよ。だから帰るなんて言わないでよ。」
「また襲うかも…」
「僕がおじいちゃんになるまでは効果あるって。」
「分かんねぇだろ。」

こうなると葛葉は絶対に折れない。
でも魔界に帰す訳にはいかないんよ。
置いていかれては困るからね。
だから最終兵器を出す事にした。

「葛葉…逃げんの？」

「言ったよね？AtRみたいになるって。なれてねぇじゃん？配信で言ったくせに逃げんの？」
「逃げねぇし。」
「言質を取ったからな。」
「悪質だろ。」
「そうでもしないと逃げちゃうじゃん。」
「でも、事務所には居られねぇよ。」
「何で？」
「すげぇ迷惑かけたし、事務所面倒見れねぇだろ。」
「バカだなぁ～。お前が不安やら何やらで押しつぶされそうになってると思うって心配してたんだよ。」
「そんな訳…」

僕は葛葉のスマホを取って渡した。
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KZ Side

通知が沢山来ているけど見るのが怖くて…俺の指が震える。
恐る恐るタップすると、３人からメッセージ…

『薬渡してても無くしそうだから兄やんに渡すね！今回の貸しは、クロノア騎士とりりむ姫で！』
『すぐ疲れる吸血鬼にあんな力があるとはなｗド葛本社で運動系でもやるか？』
『暴れるのはゲームの中で十分だろｗ俺がボコボコにしてやるからな！』
「皆まだ遊びたいんだよ。」
「あり…がと…」
「僕はねぇ…やっぱヴァロ？ホラゲーとかも…」
「ヴァロで…お願いします。」
「ｗｗ]