その153 ページ10
零「それで、条件は2つあるんだよな?もう1つは何だ?」
『もう1つは条件というよりも質問なんですけど、公安の仕事を長野ですることは可能ですか?』
零「警察庁に来なくても出来る内容もあるが、だいたいの仕事はここでやってもらう。」
『(やっぱり…)それじゃあ、その組織を壊滅できたら、また長野県警に戻ってもいいですか?』
零「なんでだ?」
『私が降谷さんの仕事を手伝うのは、降谷さんが組織に潜入していて忙しいからで、それにお兄ちゃんの方も組織が関係している。だから組織が無くなれば、私が公安にいる必要はなくなりますよね。』
諸伏警部が答えを見つける前に組織を壊滅させて長野県警に戻れたら、何の心配もなく今まで通りの生活に戻れる。
零「それは上司に聞いてみないとわからない。このまま公安として働いてもらう可能性が高いがな。」
『そうですか…』
零「とりあえず、Aは公安に入るということでいいんだな?」
『はい、条件付きで。』
降谷さんが用意してくれた書類にサインしてはんこを押した。これでもう、私は長野県警ではなくなった。
初めから気付いていた。秀一兄さんと降谷さんのこの問題になぜここまで悩むのか。そのすべての根源となるのは諸伏警部。
私が指輪を預けておくなんて言って、諸伏警部との関係を断ち切らずに曖昧なままにしているからこんなにややこしいことになっているんだ。
あの時、告白を素直に受け止めるかきっぱり断っておけばこんなことにはならなかったのに。秀一兄さんと降谷さんが喧嘩することもなかった。
ただ今は、降谷さんの上司が長野県警に戻ることを許可してくれることを願うしかない。もし無理なら、その時はまた別の解決策を考えよう。
零「たった今からAは警察庁警備局警備企画課の所属になった。本格的に仕事を始めるまで準備が必要だから、それまでは今まで通り長野県警で働いてくれ。詳しい連絡は後日する。」
『わかりました。これからよろしくお願いします。』
立ち上がって降谷さんに礼をした。これからは降谷さんが私の上司になるわけだ。
部屋を出ようとドアに近付いたところで降谷さんに呼び止められた。
零「1つ聞いていいか?」
『何ですか?』
零「なぜそこまで長野にこだわるんだ?」
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時