番外編4 ページ20
※156話のその後です
《降谷side》
Aが公安に入ってくれた。赤井といつでも連絡をとっていいという俺にとっては嫌な条件付きだがまあ仕方がない。
Aは赤井がヒロを見殺しにしたことを知っていたし、そんな赤井をもう許したと言っていた。
彼氏を実の兄に殺されたなんて、普通だったら慰謝料払えとか言うはずなのに、Aは赤井でよかったなんて言い出した。
お人好しにもほどがあるだろと叫びたくなったが、Aの言葉に少し納得した。
ヒロとAが結婚していれば、赤井とヒロは義兄弟になっていたわけだから、ヒロの最期を看取ったのは見知らぬ人ではなく(ヒロにとって義理の)兄でよかったというわけだ。
それにしても、赤井より許せない奴が表れた。
それは長野にいるAの心を動かした男。恐らく長野県警の奴。
高校時代からの付き合いで、俺はAのことはヒロの次によく知っている。
さらにはAは俺の家の合鍵まで持っていて一緒に寝たこともあるんだぞ。それなのになんで…
Aが帰った後の一人になった部屋はとても静かだった。そんな静寂を掻き消すように机をドンッと叩いた。
こんなに長く一緒にいて親密な関係にあった俺でも動かせなかったAの心を長野の奴はほんの短期間で動かした。
一体どんな手を使ってAを惚れさせたんだ？
それにAもAだ。あんなにヒロのことが大好きで、ヒロと連絡がとれなくなってもずっと待ち続けていたのに、簡単に別の男に乗りかえるなんて。
Aは長野の奴がヒロに似ていると言っていた。それは顔がか？それとも性格か？
いや待てよ、長野県警でヒロに似ている人…思い当たる人物が一人いる。ヒロの兄の諸伏高明！
一度ヒロの紹介で会ったことがあるが、確かに顔は多少ヒロに似ていた。Aと同じ県警本部で警部クラスなら、ヒロのお兄さんがAと会わないわけがない。
そうか、Aが彼に惹かれた理由がわかったぞ。きっと俺がAに惹かれたのと同じ理由だ。
Aの心を動かしたのはヒロのお兄さんだったのか。そりゃAが惚れ込むわけだ。愛の力は偉大だからな。
風見「失礼します。羽田さんはどうでした？」
零「この書類を理事官に渡しておいてくれ。」
風「あ、はい。了解しました。」
どんなに頑張っても俺はあの兄弟に勝つことはできない。自嘲気味に笑みがこぼれた。
零「…土下座しないとな…」
風「え？」
今度こそ幸せになれよ、A…
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作者名：おひたし | 作成日時：2019年6月16日 20時
