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その154 ページ11

零「Aが京都府警に配属になった時、あんなにヒロと同じ警視庁がよかったと言っていたのに、なぜ東京に来たがらないんだ?」

『えっと…それは…』

零「…長野に誰かいるのか?離れたくない誰かが…」

図星をつかれた。この大事な問題に私情を挟んでいるなんてバレたら、もう一生長野に戻れなくなってしまう。だから降谷さんには諸伏警部のことは言わないつもりだったのに。

零「その様子だと当たってるようだな。Aのことだから、好きな人と同じ職場で働きたいと思ってるんだろう?」

『…その通りです…』

零「Aはもうヒロ以外の男を好きになったり、恋人をつくったりすることは絶対にないと思っていたんだけどな…」

『確かに私もそう思っていました。でも、気持ちが変わることだってあるんです…』

零「だったら…」

降谷さんが私に近づいてきたと思った刹那、ドンッという音と共に背中が壁にぶつかった。前には降谷さん、後ろには壁、左右は降谷さんの腕…四方八方をふさがれた。

零「俺にだって、チャンスはあるよな?」

『…え…?』

零「Aの気持ちがヒロ以外に変わることがあるなら、その気持ちが俺に動くこともあるよな?」

『どうして…?』

零「Aが気付かないのも無理はない。Aはヒロにぞっこんだったからな。でもそれと同じくらい、俺もAのことが好きなんだよ!」

降谷さんが私を好き…?降谷さんの突然の告白に思考が停止する。

零「ヒロとAがお互い好き合ってることはもちろんわかっていた。それでもこの12年間、俺はずっとAのことを想ってきたんだぞ!」

『12年間⁉』

零「ああそうだ。Aがヒロと付き合う前からずっと。それなのにAは俺の気持ちに全く気付かず、ただの友達だと思っている。」

『…そんなに前から…』

零「ヒロは俺の親友だし、親友の彼女を奪うなんてことは俺にはできない。それ以前にAにはヒロしか見えていないから、Aの心がヒロから動かないことくらいわかっていた。」

『…降谷さん…』

零「俺は長野のそいつより何十倍もAのことをよく知ってる。そいつにAの心を動かせるのなら、俺にだってできるはずだ。」

降谷さんは私と目線を合わせて、まっすぐに私を見つめた。

零「今からでも遅くない。A、俺のところに来ないか?」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時

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