その178 ページ36
確かに、ヒロと出会って恋して恋人になっていなかったら、きっと高明さんとも会えてなかったし、こんなに好きになっていなかった。
『諸伏って素敵な名字ですね。』
諸「景光が言ったのは、諸葛亮孔明の諸に孔明を表す伏竜の伏を書いて諸伏、でしたか?」
『そうです。でもそれにはまだ続きがあるんです。』
諸「続きが?」
『はい。私が、ご先祖は孔明が好きなのかなって言ったら、ヒロはそれはわからないって言ったんです。その後、私は何て言ったと思います?』
高明さんは推理する時のように、あごに手をあてて考えだした。そこまで真剣に考えなくても!
『私も孔明が好きって言ったんです!』
言ってから高明さんに抱きついた。高明さんはいきなり抱きついてきた私に驚きつつも、優しく抱きしめてくれた。
『ひとつだけ約束してほしいことがあるんです。』
諸「何でしょう?」
『口ひげ、絶対に剃らないてください。私は、その孔明みたいなひげが大好きなんです。それに、ひげがなかったら本当にヒロに見えちゃうので…』
諸「わかりました。私からもお願いがあります。」
高明さんは私の頭を優しくなでてから髪の毛を一房とった。
諸「もう髪は切らないでほしいです。この長さも似合っていますが、私は前の長さの方が好きです。」
『ヒロと同じですね。ヒロが長い髪が好きって言ったから、私はあの長さにしてたんです。まだまだ時間はかかりますけど、元の長さまで伸ばしますね。』
諸「約束ですよ。」
『はい。』
顔をあげると高明さんと目が合った。もう目はそらさない。私はこの目が好きだから。
諸「Aさん、愛してますよ。」
『私もです、高明さん。』
月の光に照らされた屋上で私たちはキスをした。
もしヒロと結婚していても名字は諸伏になってたし、どちらにしても高明さんの家族になっていたことに変わりはない。
私はきっと、諸伏になる運命だったんだ。
諸「やはり間接より直接の方がいいですね。」
『もうあのことは忘れてください!』
諸「このあと何か予定はありますか?」
『家でごちそう作ってヒロの誕生日をお祝いしようと思ってますけど、何かあるんですか?』
諸「景光の誕生日をAさんと一緒に祝いたいと思い、レストランを予約してあります。来てくれますか?」
『もちろんです!あの、手繋いでもいいですか?』
諸「ええ、いいですよ。」
昔よくヒロとやったように高明さんと恋人つなぎで手をつなぎ、私たちは屋上を出た。
-完-
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時