その176 ページ34
『ありがとうございます。でも、さっきの答えは満点じゃないですよ。』
諸「…どこか間違っていましたか?」
『私が好きなのはヒロの面影、それはもちろんそうなんですけど、決して諸伏警部を見てないわけじゃありません。諸伏警部のこともヒロと同じくらい大好きです。』
諸「満点ではなかった場合はどうなりますか?」
『元から合格点なんてありません。ただ私の気持ちを知ってもらいたかっただけです。』
今まで見ないようにしていた諸伏警部の瞳を見つめた。
『私でよければ喜んでお付き合いさせていただきます!』
諸「ありがとうございます。では約束通り、この指輪はお返ししますね。」
諸伏警部は私が預けておいた指輪を取り出した。ヒロが最後にくれた私の大事な宝物。こんなにも早く私の元に戻ってくるなんて思っていなかった。
受け取ろうと右手を差し出すと、諸伏警部に手をとられた。手の平にのせて返してくれると思いきや、指輪を右手薬指にはめてくれた。
『え…?』
諸「景光の指輪は右手に、そして左手には…」
諸伏警部はポケットから取り出した箱を開いた。中には輝く指輪が入っている。
諸「私の指輪をはめてもらいます。」
『それって…』
諸「敢助君の言葉を借りるのは癪ですが、Aさんには私の家族になってもらいたいです。」
諸伏警部は指輪の入った箱を私に差し出した。
諸「私と結婚してください。」
ヒロに告白された時と同じように涙が静かに流れ落ちた。今の私の感情は嬉しいの一言で収まるものじゃない。
『はい、喜んで!』
こんなに素敵なサプライズをしてくれるなんて、一体この気持ちをどう表現したらいいんだろう。
諸伏警部は私の左手をとり、薬指に軽くキスしてから指輪をはめてくれた。
『指輪を用意していたってことは、答えがわかったのは今日じゃないんですね。』
諸「ええ。わかったのはAさんが東京から帰ってきて少し経った頃ですね。」
『そんなに前から⁉その時に言ってくれたらよかったのに。』
諸「指輪を用意していましたので。それから、今日は何の日か知っていますよね?」
『もちろんです。今日はヒロの誕生日…あ、まさか!』
諸「そうです。景光の誕生日を最高の思い出として残してもらいたいと思いまして。」
『ヒロの誕生日にプロポーズされたら、忘れろって言われても忘れられませんよ。』
両手を広げて左右の薬指の指輪を見る。諸伏兄弟の両方から愛されてるなんて私は幸せ者だな。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時