【名探偵コナン】重なる未来４ (ページ14)

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その157 ページ14

そこまで多くない人の中、前を歩いている人のポケットから煙草の箱が落ちるのが見えた。急いでいるけど見過ごすわけにはいかないから、箱を拾って声をかけた。

『あの、これ落としましたよ。』

？「ああ？」

振り返ったその人物を見て背筋が凍りついた。その男の目付きは異様なまでに鋭く、何か犯罪に手を染めているかのような目付きだった。

よく見たらこの男は全身黒服に銀髪の長髪、連れの人も真っ黒な服にサングラスをかけていていかにも怪しい。

『えっと、さっきこれを落とされたと思うのですが…』

？「ああ、悪いな。」

銀髪の男は自分の上着のポケットを確認してから、私が差し出した箱を左手で取った。間違ってなくてよかった。

『それでは、私はこれで…』

？「待て。」

早くこの場から去ろうとしていると、銀髪の男に手首をつかまれた。諸伏警部とは全く違って力強くつかまれてるから腕が折れそう。

？「お前、名前は？」

『え？』

？「名前は何だって聞いてるんだ！」

『は、萩原Aです…』

刑事の勘でこいつは危ないと思った私は、前に降谷さんが勝手に名付けた萩原Aを名乗った。

？「フッ、そうか。邪魔したな。」

『あ、いえ…』

？「行くぞ、ウォッカ。」

銀髪の男は私から手を放して、連れの人と一緒に去っていった。あの凍りつくような視線から解放されて安堵の息が漏れる。

一体あの人たちは何者なんだろうか。全身黒ずくめであの目付き、私の刑事経験の中であんなに怪しい人物は初めて見た。

それより気になったのは最後に言ったウォッカ。さすがに名前ではないだろうし、連れのサングラスの人のあだ名なのか、もしくはコードネーム…

秀一兄さんが言っていた、組織の幹部クラスになるとお酒にちなんだコードネームが与えられるという言葉を思い出した。

もしウォッカがコードネームだとしたら、あの二人は組織の人。それもコードネームを持っているのなら幹部クラスなのは間違いない。

組織と戦うと誓った上、ついさっき公安になったばかりなのに、もう組織の人に遭遇するなんて運がいいのか悪いのか。

とりあえず本名を言わなくて正解だった。ウォッカというコードネームの人が本当に組織に存在するのか、秀一兄さんに聞いてみないと。

長野駅に着いて新幹線を降りた。今日は疲れたからそのまま家に帰ろうかと思ったが、スーパーに寄ってから帰ることにした。