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その104 ページ9

マンションの前に停めてもらい、お礼を言ってから車を降りた。

諸「では明日の朝、迎えに参りますので。」

『迎えにって?』

諸「Aさんの車は本部に停めたままですからね。」

『そうだった!車停めたままだった!』

完全に忘れていた。県警本部に戻ってくれってお願いすればよかった。先輩に迎えに来させるとか何様だよ!

部屋に帰ってから今日のお礼と明日迎えに来てもらう時間をメールで送り、諸伏警部の言葉を思い出す。

警視庁で諸伏警部宛の封筒が見つかった…もしかしたら降谷さんが言っていたヒロの遺品の件かもしれない。

そうだとしたら諸伏警部はヒロが亡くなったことを知ることになる。両親もいないし、唯一の肉親を失ったんだから、きっと私よりも悲しみは深くなるはず。

翌朝、諸伏警部はちゃんと時間通りに来てくれた。こんなにお世話になってるんだからあのお土産はなんとしても受け取ってもらわないと。

上原さんといつものようにお昼を食べる。上原さんも一目で刑事だってわかる感じはしないけどな。

上「ねえ、昨日Aちゃんの車が停まったままだったけど、どうしたの?」

『諸伏警部と食事に行って、そのまま家まで送ってもらったので車のことはすっかり忘れてたんです。』

上「諸伏警部と食事⁉それって向こうから?それともAちゃんから?」

『食事に行こうって誘ったのは向こうですね。きっかけは私ですけど。』

上「もしかして諸伏警部、Aちゃんのこと好きなんじゃないの?」

『え?』

上「だって、諸伏警部が女の子と二人で食事に行くなんて見たことないもの!それに家まで送ってもらったんでしょ?」

『そうですけど、ただ気に入られてるだけだと思いますよ。』

上「じゃあお会計は?奢ってもらった?」

『はい。申し訳ないから何かお返しがしたいって言ったら…』

上「言ったら?」

『また一緒に食事に行こうって言われました。』

上「それ絶対脈ありよ!女の勘でわかるわ!」

『そうなんですかね?』

上「で、Aちゃんはどうなの?諸伏警部のこと、どう思ってるの?」

『優しいし賢いし、いろいろ相談も聞いてくれたりして頼りになる人だなと思います。』

上「好きか嫌いかで言うと?」

『好き…ですけど…』

上「じゃあ両想いじゃない!素敵だわ!」

『でも、その好きとは少し違うような気がするようなしないような…(何言ってんだ?)』

上「でも少しは意識してるでしょ?」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時

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