その103 ページ8
諸「見た目で判断するのはいけませんが、あまり刑事には見えないところですかね。」
『あ、それはよく言われます。ピアス付け始めてからは特に。刑事に見えないっていう理由で、よく変装なしで張り込みとかさせられましたよ。』
諸「一般人に見えるのなら張り込みでは有利ですね。」
『それはそうなんですけど、張り込み中によくナンパされるんですよね。』
諸「ナンパ?」
『そうです。こっちは必死で張り込んでるっていうのに本当に迷惑です。まあ、もう撃退方法は習得しましたけど。』
警察手帳をチラッと見せたらたいていのナンパは諦める。たまにしつこいのもいるからそれは本当にめんどくさい。
『個性的なのはこれだけですか?』
諸「あとは、Aさんにはどこか人を引き付けるオーラのようなものがありますね。」
『人を引き付けるオーラ?』
諸「はい。見た目の美しさだけでなく、性格や物腰の柔らかさから人に好かれやすい何かを持っていると思われます。」
『人に好かれやすいんですかね?』
諸「そう思いますよ。これは個性でもあり魅力でもありますね。それにAさんは噛めば噛むほど味が出るタイプ。接していればいるほどAさんの魅力が伝わってきます。」
『魅力か…そんなんだからファンクラブができるんですね。』
諸「まあ、私もAさんの魅力に惹かれた者の一人ですが…」
『え?』
諸「いえ、ただの独り言です。」
お会計時、財布を取り出して代金を払おうとすると諸伏警部に止められた。「私から誘ったのですから支払いは不要ですよ」なんて言われて奢ってもらった。
『ごちそうさまでした。お礼のつもりだったのに奢ってもらうなんてなんか申し訳ないので、何かお返しがしたいです。』
諸「また一緒に食事していただければそれで充分ですよ。」
『今度は私が払いますからね。』
諸「楽しみにしています。」
諸伏警部の車に乗った。奢ってもらっただけじゃなく、なんと家まで送ってくれるのだと言うから驚いた。
諸「実は明後日、警視庁に行くことになっています。」
『また応援要請ですか?』
諸「いえ、警視庁で私宛らしき封筒が見つかったそうなのでその確認の為に。」
『警視庁か…もし佐藤っていう刑事さんに会ったら、私が謝ってたって伝えてもらってもいいですか?』
諸「いいですよ。その方はAさんがぶってしまったという方ですね?」
『そうです。警視庁に行く機会はなかなかないのでお願いしようかと。あ、家ここです。』
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時