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その143 ページ49

赤「俺はスコッチを助けて組織から逃がそうとした、これは紛れもない事実だ。」

『でも拳銃を渡して自決させたんでしょ?』

赤「拳銃は渡していない。スコッチは俺に投げ飛ばされるふりをして、俺が持っていた拳銃を抜き取ったんだ。」

『じゃあヒロは自分から拳銃を奪ったってこと?』

赤「そういうことだ。スコッチが胸に拳銃を当てて自分を撃とうとしていたから、俺はレボルバーのシリンダーをつかんだ。そこを抑えられると人間の力で引き金を引くことは無理だからな。」

『ヒロが…自分を撃とうとした…?』

赤「俺も自分の正体を明かし、彼に組織からの逃亡を勧めた。だが組織の追っ手の足音が聞こえて、それに気をとられてしまい…」

『シリンダーから手を放した…』

赤「…ああ。スコッチはもう逃げられないと思い胸ポケットに入れていたスマホごと自分の心臓を撃ち抜いた。」

スマホごと心臓を撃ち抜いた…諸伏警部が見せてくれたヒロのスマホはやっぱり自決した時に持ってたものだったんだ。

赤「スマホごと撃ったのはなぜだかわかるか?」

『たまたま胸ポケットに入れてたから?』

赤「それもあるかもしれないが、恐らく情報が漏れるのを防ぐためだ。」

その情報は警察の極秘データだけじゃなく、私や降谷さん、諸伏警部の連絡先も含まれていたはず。私たちを組織の危険から守るために…

『じゃあヒロは自決させられたんじゃなくて、本当に自分から命を絶った…』

赤「そうだ。だが彼の自決を止めることができなかった俺にも非はある。本当にすまなかった。」

『でもお兄ちゃんはヒロのこと助けてくれようとしたんでしょ?それなのに私はお兄ちゃんが殺したなんて勘違いして…私の方こそごめんなさい…』

赤「いや、いいんだ。かわいい妹の彼氏だとわかっていれば、なにがなんでも助けていたんだけどな。」

『ヒロじゃなくても助けてあげてよ。FBIなんだから。』

誤解が解けた私は秀一兄さんに抱きついた。お兄ちゃんが生きていたことの喜びとヒロを助けようとしてくれた感謝が入り交じって再び涙が溢れてきた。

『ごめんね、いっぱい叩いたり顔引っ張ったりして…』

赤「ああ、けっこう痛かったよ。」

『もう!ごめんって!』

赤「そうだ、スコッチのことは安室くんには言わないでおいてくれ。」

『どうして?』

赤「彼は俺のことをひどく嫌っている。どんなにAがスコッチの死の真相を話しても信じないだろうからな。」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時

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