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その142 ページ48

赤「ヒロ?」

『私の彼氏。その組織に私の彼氏が殺されたってことを友達から聞いたの。彼氏もその組織に潜入していて、ノックだとバレて殺されたって…』

赤「ノックとバレて殺された?」

『彼氏を殺したのは同じく潜入していたFBIの人だって教えてもらった。それと拳銃を手渡して自決させたってことも…』

赤「まさか…スコッチのことか…⁉」

『その人は組織に殺されたふりをして今も生きてるって、そんなのお兄ちゃんにしか当てはまらない!』

赤「…そうか、安室くんから聞いたのか…」

『やっぱり…ヒロを見殺しにしたのはお兄ちゃんなんだよね…?』

赤「ああ…すまない…彼のことは今でも悪かったと思っている。」

お兄ちゃんの言葉に堪忍袋の緒が切れた。

『悪かった?それで済むと思ってるの⁉死体すり替えたり指紋を残したりして殺されたふりができるんなら、ヒロのことだって助けられたはずなんじゃないの⁉』

赤「助けようと思ったんだが…」

『だったらどうして拳銃渡したりしたの?同じ潜入してる者同士なのに…』

涙が溢れて止まらなくなってきた。ヒロを見殺しにした人がまさか自分の尊敬している兄だったなんて信じられないし、信じたくなかった。

どうして助けてくれなかったのか、どうして見殺しにしたのか。その答えを知りたくて、お兄ちゃんのたくましい胸板を強く叩く。

『どうして…なんで…助けてくれなかったの…?』

赤「A、本当にすまなかった…」

『謝ってほしいんじゃない!』

赤「A、少し落ち着け。」

『お兄ちゃんには、恋人を殺された私の気持ちなんてわからないでしょ⁉』

赤「いや、わかる。」

秀一兄さんを叩いていた右手をつかまれ、驚いて上を向くと、秀一兄さんは悲しそうな顔をしていた。

『え…わかるって?』

赤「俺にもAの気持ちはわかる。俺も、大切な恋人を殺されたからな…」

『恋人を殺された…?』

赤「ああ、組織の奴に、ノックの俺を組織に引き入れたという罪でな。」

『そうだったんだ…』

赤「その彼女の唯一残された妹を守るため、俺は変装してここに住んでいる。」

『妹?』

赤「隣の博士の家に住んでいる茶髪の少女だ。」

『哀ちゃんのことか…』

赤「それで、スコッチのことだが…」

『スコッチ?』

赤「組織の幹部クラスになると酒にちなんだコードネームが与えられる。俺はライでAの彼氏はスコッチだ。」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時

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