その139 ページ45
工藤家では有希子ご夫人の手料理が並べられていた。
有「あ、Aちゃんおかえり。ちょうど晩ごはんできたから、悪いけど優ちゃん呼んできてくれる?」
『優ちゃん?猫?』
有「優作のことよ。そこの角を曲がった書斎にいると思うから、よろしくね。」
有希子ご夫人に言われた部屋をノックすると、中から落ち着いた声が聞こえた。これは工藤優作大先生のお声だ!
『失礼します。晩ごはんができたようなので工藤優作大先生をお呼びするように言われまして…』
優「ああ、そろそろ来ると思ってたよ。それより、少しAさんに見せたいものがありまして、こちらに来てくださるかな?」
『見せたいもの、ですか?』
工藤優作大先生がいらっしゃる机に近寄った。にしてもこの書斎すごいな。鈴木大図書館のあの本棚に匹敵するよ。
優「私が初めて脚本を手掛けた映画は見てくれたかな?」
『はい、もちろんです!「緋色の捜査官」ですよね。工藤優作大先生がマカデミー賞を受賞なさるところを仕事サボって生中継で見てました。』
優「それはありがたい。これは脚本考案の一部なんだが見てみるかね?」
工藤優作大先生は映画の脚本を考える過程が書かれたノートを見せてくれた。
『すごい…さすが工藤優作大先生です。でも、こんな貴重なものを私に見せてもいいんですか?』
優「ああ、君は昔から私のファンでいてくれてるからね。」
『昔からって、どうしてご存知なんですか?コナンくんには言った覚えがないのですが。』
優「君は一度、私の講演会とサイン会に来てくれていたね?その時のことを思い出してね。」
『確かに私が大学生の時に講演会とサイン会には行きましたけど、そんなファンはたくさんいるのでは?』
優「それはそうなんだが、君の工藤優作大先生という呼び方が独特で、印象に残っていたんだ。」
まさかの工藤優作大先生に認知されていた!山ほどいるファンの中で私のことを思い出してくれたなんて嬉しすぎるし、やっぱり工藤優作大先生は偉大だ。
沖「あのー、有希子さんが早く来いとおっしゃっていますけど…」
いつのまにか沖矢さんが来ていた。有希子ご夫人に工藤優作大先生を呼んでこいと言われたことをすっかり忘れていた。
ダイニングでは有希子ご夫人が少し怒り気味で待っていた。本当に申し訳ない。
晩ごはんは工藤夫妻と沖矢さんと私と、そしてなぜだかコナンくんも一緒に食べ、晩ごはん後にリビングに来るように沖矢さんから言われた。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時