その138 ページ44
『私は吸いませんよ。これはお供え物です。』
佐「お供え物?あっ、もしかして松田君のお墓に?」
『そうです。松田さんのお墓にはいつもこの煙草をお供えしてますから。あっ、高木さん、割り箸の袋貸してください。』
高木さんは不思議そうな顔をして袋を渡してくれた。中からつまようじだけを取り出して割り箸は高木さんに返した。
高「つまようじ…もしかしてそれは伊達さんのお墓に?」
『その通り。松田さんは煙草、伊達さんはつまようじ。それぞれのイメージに合ったものをお供えしようと思いまして。松田さんは本人からの希望ですけど。』
高「だから僕につまようじ入りの割り箸がついてくるお弁当にするようにおっしゃったんですね。」
佐「Aちゃんは伊達さんのお墓参りは初めてよね?それならこの前お墓に置いてあったつまようじは一体誰が置いたのかしら。Aちゃんは知ってる?」
私以外にそんなことをするのは降谷さん以外に考えられない。
『さぁ、きっと伊達さんの大切な友達なんじゃないですか?』
伊達さんのお墓に着いて、つまようじをお供えしてから手を合わせた。結局伊達さんとナタリーさんの結婚式を見ることはできなかった。
伊達さんのお墓参りの後には松田さんと萩原さんのお墓参りもした。
佐「ねぇ、昨日会った時に話そうと思ってたんだけど、Aちゃんの彼氏さんて亡くなったのよね…?」
『そうですけど、なんで知ってるんですか?』
佐「白鳥君が言ったわよ。指輪は彼氏さんからの最後の贈り物だってAちゃんが教えてくれたって。」
そういえば、警視庁を去っていく時に白鳥さんと千葉さんにそんなことを言った。
佐「それでね、今日やっと謎が解けたのよ。」
『え、謎?』
佐「Aちゃんの彼氏さんて松田君の親友の萩原さんだったのね。」
えっ?今何と言った?私の彼氏が萩原さん?
『違いますよ!萩原さんは彼氏じゃないです!』
佐「そうなの?Aちゃんは松田君と友達だから、萩原さんを通して知り合ったのかなって思ったんだけど。」
『松田さんと友達になったのは確かに彼氏を通してですけど、それは萩原さんや伊達さんも同じなんです。3人とも彼氏の友達なんです。』
佐藤さんが納得してくれたかはわからないけど、また勘違いされるなんてどうなってるの⁉
もうすぐ夕方になるので、佐藤さんに工藤家近くまで送ってもらった。ここに帰ってくるなんてなんか工藤家の子になったみたい。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時