その107 ページ12
《諸伏side》
※高明さんの一人語りです。
指輪の内側には景光とAの名前がローマ字で彫られている。同じ名前の可能性もあるが、病院でAさんが話してくれた内容を思い出すと、全て辻つまが合う。
Aさんの言っていた彼氏とは景光のこと。つまりAさんと景光は恋人だった!
仕事が警察、4、5年連絡がなかった、極秘任務…やはり景光はAさんの恋人で、公安に配属されて命を落としたと考えられる。
それからAさんの言っていた景光の親友。それは恐らくこの封筒の送り主。
景光が東京でできたと言っていた友達と同一人物であることは確かでしょう。あだ名がゼロでこの封筒にも数字のゼロが書かれている。
ただひとつ疑問が残る。なぜAさんは景光と恋人だったことを私に言ってくれなかったのか。
諸伏なんて名字は珍しいし、私も何度かAさんに弟のことを話した。賢いAさんなら私と景光が兄弟であることくらい見抜いていたはず。
普段からプライベートなことはさらけ出さないAさんでも、さすがに恋人の兄弟に会えば隠す必要はない。
きっとAさんのことだから、私が景光の死を知らなかったからあえて言わないでくれていたんでしょう。
まったく、Aさんはどこまで他人想いなのか。きっと景光も彼女のそんなところに惹かれたのでしょう。
兄弟の好みは似ているというのは本当のことのようですね。まさか弟と同じ女性を好きになるとは。
景光とAさんがお互いに愛し合っているのなら、他人の入る隙はない。私も諦めるべきなのか…
いや、ここまできて諦めるわけにはいかない。Aさんも恋人の兄として少なからず私を意識してくれているはず。
それに、弟の恋人を守るのは兄としての使命。私の知っている限り今のところライバルはいない。遠慮なく攻めるとしましょう。
─────────────────────
けっこう負けず嫌いな高明さんです。
本当にライバルはいないんでしょうかね
169人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時