その133【怪盗キッドの絡繰箱編】 ページ39
みんなが騒いでいる中、さっきまで調べていた料理本の中から適当に和食の本を取り出し、肉じゃがのページを開くと、そこには箱の図面が書かれた紙が挟まっていた。
『奥さん、この紙なんじゃないですか?』
奥「あっ、きっとこれですわ!ありがとうございます!」
『いえいえ。警察のくせに何もせずに帰るわけにはいきませんから。』
奥さんは嬉しそうに本と紙を持って絡繰箱の方へ行き、私もその後ろをついていった。
阿笠「痛たた…」
哀「どうしたの?博士。」
阿「また腹の具合が…」
哀「じゃあさっさとトイレ行って来なさいよ!」
博士さんは哀ちゃんに言われてトイレに行ってしまった。あれは博士さんじゃない。博士さんに化けたキッドだ。
さりげなく輪を抜け出し、博士さんを追おうとすると、コナンくんが走ってトイレに向かう姿が見えた。そしてその後ろを沖矢さんが追いかけている。二人とも正体に気付いたんだね。
さすがに男子トイレに入るわけにはいかないから、廊下の隅で待っていると、トイレの方から白い物体がこちらに向かってきた。
その白い物体が先に進めないように廊下の真ん中に立って通せんぼした。
キッド「うわっ、急に出てくんなよ、危ねぇな!」
『私、ずっとここにいたし、廊下を走ってる方も悪いと思うけど。』
キ「フッ、さすがあの名探偵と並ぶほどの刑事だ。俺の逃走経路を把握して先回りしてたってか?」
『逃げるのなら警備が手薄なこの辺りから逃げると思ってね。』
キ「どこであの博士が俺だと気付いた?」
『身長。博士さんは蘭ちゃんと同じくらいの身長だったのに、蘭ちゃんが取れなかった本を博士さんが余裕で取ってたのはおかしい。だから、和葉ちゃんの時みたいに膝をまげて背を低く見せてた。和葉ちゃんと違って博士さんはズボンだし足が太めだから、膝をまげてもバレないって考えたんだね。』
キ「完璧な解答だな。それじゃあ俺を捕まえて中森警部に引き渡すのか?」
『捕まえないよ。中森警部には逃げられたって伝えておく。』
キ「警察なのにそれでいいのか?」
『今回は何も盗んでないし、あの箱を開ける手助けをしてくれた。現行犯で逮捕できないよ。』
キッドの顔は帽子とモノクルで隠れていてよく見えないが、驚いた表情をしていることはわかる。
『それに前回も、宝石を本当の持ち主の元へ返すために宝石を盗んだんでしょ?』
キ「あの軍師みてーな刑事から聞いたみたいだな。」
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時