その114【過去編・萩原】 ページ20
『そうなんです。萩原さんか松田さんのどちらに来てもらうか迷ったんですけど、二人の名前を書いた鉛筆転がしたら萩原さんの名前が出たので。』
萩「ええ!俺、鉛筆転がして選ばれたの⁉」
『っていうのは冗談で、萩原さんとはなんだか話しやすいので、会話も弾むと思って萩原さんを選びました。』
萩「俺って話しやすいの?」
『はい。さっきも私の冗談に反応してくれて面白かったです。』
萩「Aちゃんて冗談言うんだね。」
『それと、松田さんはどちらかというとちょっと苦手なので…』
萩「陣平ちゃん苦手なの?」
『なんかちょっと昔の降谷さんに似ててぶっきらぼうというか冷たいというか…そこが松田さんのいいところでもあるんですけどね。』
萩「確かに松田は口が悪いとこもあるけど、それはAちゃんにだけじゃないよ。それより昔の降谷って?」
『降谷さんと知り合った時、すごく嫌われてたんです。今はもう仲良いですけど。』
降谷さんに嫌われてたのは、きっと私がヒロと仲良くしてるから。親友を取られたと思って嫉妬してたんだと思う。
『あと、松田さんてこういう講演会苦手そうなので、途中からいびきかいて寝ちゃいそうです。』
萩「確かに!って俺も寝ちゃうかも。」
『寝るのはいいですけど、静かに寝てくださいね。』
会場に入り座席に座ると、まだ始まっていないのに興奮で顔がニヤけてきた。
萩「Aちゃん、すごいワクワクしてるね。そんなにファンなの?」
『もちろんです!工藤優作大先生の「闇の男爵」シリーズは世界的大ヒット作品で、私のお気に入りの推理小説ベスト3にも入るんですから!』
萩「そんなすごい人だったんだ。名前は聞いたことあるけど、実際に読んだことはないな。」
『強制はしませんけど、死ぬまでに一度は読んでおいたほうがいいと思いますよ。』
萩「じゃあ読んでみようかな。Aちゃんがこんなに推理小説好きなんて知らなかったよ。」
『あんまり周りには言ってないですからね。推理小説の話をすると止まらなくなってよく引かれるんですよ。』
萩「でもさっきはそんなに話してなくない?推理小説が好きなのは伝わってきたけど。」
『さっきのはだいぶ抑えたんです。あんまり話すと萩原さんにも引かれちゃいますから。』
萩「俺は引いたりしないよ。Aちゃんの新しい一面が知れていいと思うけどな。」
萩原さんと話していると会場が暗くなり、工藤優作大先生がご入場なされた。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時