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その110 ページ15

県警本部に戻ってきた。結局告白されてないじゃないか。上原さんの予言は外れたみたい。

『残り2つ、気になるので聞いてから帰ってもいいですか?』

諸「もちろんです。3つ目は、そこのグローブボックスを開けてください。」

グローブボックスを開けると1冊の本が入っていた。本を取り出して表紙を見る。

『「2年A組の孔明君」?初めて見ました。』

諸「その本は私が最も愛した本です。私はその本の作者と同級生で、彼女に好意を抱いていました。」

好意を抱いていた…私は自分のことばっかり考えていて、諸伏警部の過去の恋愛なんて全く考えてなかった。

諸「彼女は画家と結婚しましたが、3年前にこの世を去りました。」

『え、亡くなった…?』

諸「彼女はただの同級生でしたが、私にとっては大切な人です。ですから、恋人や友人を亡くしたAさんの気持ちはよくわかります。」

私もヒロや伊達さんたちなど大切な人を亡くした。確かにこれは大きな共通点と言える。

『それならこの本は大事に置いておかないといけませんね。』

本を元の場所に戻し、グローブボックスを優しく閉めた。

『最後の1つは何ですか?』

諸「4つ目はつい先日新しく追加されました。」

『追加されたんですか?』

諸「そうです。警視庁で発見されたという封筒は私宛で間違いありませんでした。封筒の中身から、私の弟が亡くなったということがわかりました。」

ついに来てしまった。諸伏警部がヒロの死を知ってしまった時が。封筒の中身はやっぱりヒロの遺品だったんだ。

諸「私は弟を、Aさんはお兄さんを、長年会っていなかった兄弟を亡くしたという点が同じですね。」

どうしよう…私がヒロと付き合ってたことをいつかは言わなきゃいけないと思っていたけど、言ってしまうと今の関係が崩れてしまいそうで怖い。

でもこのままずっと隠し続けるわけにはいかないし、どんな風に言えばいいのかわからない。

諸「封筒の中にはこれが入っていました。」

『スマホ?』

諸伏警部が上着のポケットから取り出したのは穴の空いたバキバキに壊れたスマホだった。

もしかしたらこれはヒロが拳銃で自決させられた時に持っていたスマホかもしれない。こんなにくっきり穴が空いているということは、ヒロはスマホ越しに拳銃で自決したんだろう。

諸「それからもう1つ、これが入っていました。」

『!!』

取り出されたのはネックレスに通してある指輪…

諸「この指輪に見覚えはありますね?」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時

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