その64 ページ17
『実は、私には高校時代から付き合ってる彼氏がいます。すごく私のことを大切にしてくれて、私も彼のことが大好きでした。一緒に買い物したり旅行したりもしました。でも、4、5年ほど前から全く連絡が取れなくなったんです。彼も警察だから忙しいんだろうなって思ってたんです。』
ヒロだとわからないように説明する。諸伏警部は黙って話を聞いてくれている。話に口を挟まないなんてほんとに紳士。
『東京に行った時、たまたま彼の親友に出会いました。その親友は彼と幼馴染みで、私とも友達です。その親友が私に教えてくれたんです。私の彼氏が…亡くなったと…』
両手で布団を握りしめる。思い出すとやっぱり辛い。
『連絡が取れなかったのは警察で極秘任務をしていたかららしいです。彼はその任務中に亡くなったそうだと親友から聞きました。親友は彼から私宛ての封筒を預かっていて、それをこの前会った時に渡してくれました。その封筒には彼の名前が書かれた婚姻届とこの指輪が入ってました…』
諸伏警部に左手の指輪を少し見せる。
『仕事が警察だから命の危険は覚悟してたんですけど、いざ殉職したって聞くとやっぱり悲しくて辛くて。でも連絡取らなかったのは任務があったからで、彼が私を捨てたんじゃないってことがわかって嬉しかったし、最後にこんな素敵な贈り物を残してくれていたなんて思ってもいませんでした。それでも、あ…』
話しすぎた。東京で何があったかを聞かれただけなのに、聞く側にとってはどうでもいい自分の心情まで話していた。
『要約すると、何年も会ってなかった彼氏が殉職していたと知った、です。これが東京で起こった出来事です。』
諸「続きを話しても構いませんよ。」
『いえ、いいんです。私の気持ちを説明し出すと時間の無駄ですので。』
諸「そんなことありませんよ。気持ちを吐き出すことは大切なことです。それに、東京では他にもまだ何かあったはずです。」
『え、なんで…』
諸「先ほどAさんは、東京でいろいろあったと言いました。ですが要約した内容は1つだけでした。」
私が言ったこと覚えてるなんて、諸伏警部には敵わない。
『そうです。まだあります。話してもいいんですか?もう夜ですけど…』
外を眺めると太陽はとっくに沈んで空は真っ暗だった。諸伏警部をずっとここに引き留めるわけにはいかない。
諸「今夜は入院することになってますし、話しても構いませんよ。私はAさんの気が休まるまでずっとそばにいます。」
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おひたし(プロフ) - 梨愛さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて私としても嬉しいです。さざ波はもう少し人が集まるまで待ちますね。 (2019年5月20日 8時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
梨愛(プロフ) - 初コメです。警察学校組も長野県警も好きなので更新楽しみにしてます。さざなみ編の話も読みたいですね。更新頑張ってください。 (2019年5月18日 17時) (レス) id: ca993b538c (このIDを非表示/違反報告)
おひたし(プロフ) - ayuさん» いつも応援ありがとうございます!最近忙しくて更新が停滞してしまって申し訳ないです… (2019年5月17日 12時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
ayu - コメント失礼します!更新楽しみにしてます。頑張って下さい!応援してます。 (2019年5月16日 7時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月9日 20時